ジンバブエでの生活の事や途上国や日本の教育政策の事について書いています(ここでの見解は個人の見解であり、所属団体の見解ではありません)
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 少子化と女子教育
2012年03月10日 (土) | 編集 |
3月8日は国際女性の日でした。去年も国際女性の日に関連してジェンダーの世界的状況を表した図を示しましたが、今年もジェンダーに関する図をご紹介しようと思います。

今年は、途上国での少子化と女子教育についてです。現在、世界では人口増加がかなり大きなイシューとなっています。この人口増加を止める手段として様々な手段が議論されていますが、女子教育の推進はかなり有効な手段となっています。一つには、女子に教育を施すことでその間に起こる早期結婚・10代での出産を防ぐ事が出来るという点があります。他にも、女性が教育を受けることで家族計画をしっかりと立てられるようになる、エンパワーメントされて夫の言いなりにならなくなる、出産にまつわる放棄所得が高くなる等の理由から、女子教育を推進すると少子化が推進され人口爆発を抑える事が出来ると言われています。

というわけで、実際に中等教育の女子就学率と15-19歳女子1000人当たりの出生数、中等教育の女子就学率と10年後の合計特殊出生率がどの程度関係しているのか見てみようと思います。以前書いたように所得の上昇も少子化を進める要因なので、これを抑えるために同じ所得カテゴリーの中でこの関係を図示します。以下が低所得国・低中所得国・高中所得国での女子の中等教育就学率と15-19歳女子1000人当たりの出生数・合計特殊出生率です↓↓

まず、低所得国です。
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女子の中等教育の祖就学率が上昇すると、15-19歳女子1000人当たりの出産数も10年後の合計特殊出生率も見事に減少していきますね。

次に低中所得国です。
Slide3_20120309105628.jpg

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ここでも同様の傾向が見られます。

最後に高中所得国です。
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高中所得国ぐらいになると、低所得国や低中所得国ほど女子の中等教育就学率が10代での出産や合計特殊出生率と関係がなくなってきます。これは、これぐらいの国民所得になってくると女子の高等教育就学率が上昇してくるため、中等教育就学率だけでは説明が効かなくなってくるためです。

上の6つの図から、人口爆発を止めるために、如何に途上国で女子教育を推進して少子化傾向に持っていくことが重要かが分かるかと思います。そして、全ての教育段階で男女間格差をなくす事はMDGs(ミレニアム開発目標)の1つですが、まだ達成されていません。中等教育での男女の就学比率は低所得国で0.85、低中所得国で0.9、また高等教育でのそれは低所得国で0.64、低中所得国で0.84と、一昔前に比べれば状況は改善されているものの、まだまだ改善の余地が有ります。

途上国を少子化傾向に誘導して人口爆発を抑え、かつ女性のエンパワーメントを進めるためにも、MDGs達成に向けて女子教育が改善されていく事が必要です。
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 女性の教育を促進するジェンダーバイアス(NY Times)
2012年01月03日 (火) | 編集 |
NY Timesで、「働かずに、教育を受けることを選択する若い女性」、という面白い記事があったので、ご紹介しようと思います。この記事は、女子は教育を受けなくても良い・女子は文系に進むべきだ、といった類で女子教育を阻害すると思われやすいジェンダーバイアスですが、アメリカではむしろ3種類のジェンダーバイアスが女性の就学を促進していることが書かれています。

Young women seem to be postponing their working lives to get more education. There are now — for the first time in three decades — more young women in school than in the work force. (中略) Both men and women are going back to school, but the growth in enrollment is significantly larger for women (who dominated college campuses even before the financial crisis). In the last two years, the number of women ages 18 to 24 in school rose by 130,000, compared with a gain of 53,000 for young men.


アメリカでは金融危機以降女性の就学率が伸び、若年女性ではついに働いている人よりも学校に行っている人の方が多くなりました。男女で比べてみると、男性の就学者数が金融危機以降の二年半で53000人増えたのに対し、女性の就学者数は130000人も増えました。アメリカでは学歴が高いほど失業率も給与水準もよいので→教育とジェンダーと生涯収入、ジェンダーの観点から長期的視野で見ると、この現象が大きな影響を及ぼすことが考えられます。

では、なぜこの不景気を女性はスキルアップの好機と捉える一方で、男性は目の前にある仕事に飛びついてしまうのか?の3つの理由が下記で説明されます。



Some studies suggest that women are pickier about their job choices than men. Already earning lower pay, women are less willing to work when wages fall further, especially if they are able to rely on an employed (and these days, often newly re-employed) husband. Women are also more reluctant to work night or weekend shifts, according to government data on how Americans spend their time, partly because they have more family responsibilities.


一つ目の理由は男女で仕事の選択に異なる傾向が現れる事です。ある研究によると、男性と比べて女性は、①給与が下がると簡単に仕事を辞めてしまう、②夜間や週末が絡むタイムシフトでは働かない、そうです。とりわけ養ってくれる夫がいる場合に顕著で、女性の方がより家事労働に責任を持っている事がその一つの理由だそうです。



There is still this heavy cultural message that men should be out there earning money and supporting themselves, and they feel more distressed by losing their breadwinner role.


2点目は、男性は稼いで家族を養うべきだ、という強い文化的なメッセージがまだまだ残っているため、大黒柱としての役割を失ったときに男性は強いストレスを感じてしまう、というものです。



Today young girls are told they can do anything, go into any occupation. But if boys express any interest in traditionally female occupations, they get teased and bullied, Lots of guys are not understanding what’s happening to traditional low-income or middle-income male jobs.


3点目は、職業とジェンダーによるものです。これまで男性の職場だと考えられていたところにも女性が進出するようになり、現代の女の子は「あなたは将来何にでもなれる」と言われて育っていきます。これに対し、男子は看護師に代表されるような女性の職場に行きたいと意思表明すると友達に苛められてしまい、女子と比べて男子は極めて狭い将来の選択肢しか持ち得ないことになります。しかも、男性の職場だと考えられていた製造業では構造的な失業や賃金の低下が発生しているために、ますます男性は不利になっている、と考えられています。



話を米国から途上国へと移してみても、中南米や中東ではジェンダーバイアスが男子の教育の阻害要因or女子の教育の促進要因として現れています。中南米ではmasculinityが大変強く、この記事の2番目の要因が強く現れています。男子は早く自分で稼ぎたい・稼げるようになって一人前・ギャングの仲間入り、などの原因によって学校を退学してしまうため、女子の方が就学率が高くなっています。中東では女性の仕事があまりないので、この記事の1番目の要因が現れ、高等教育において女子の就学率が男子のそれを上回るケースが出てきています。



翻って日本を見ると、この3つの要因すべて存在しているように感じられます。しかし、アメリカと比べて一旦働いた後に大学・大学院へ進学してスキルアップして社会へ戻っていく事がそれほど一般的ではないため、日本では短大を除いて女子の就学率が男子のそれを上回っていることはありません。また、世界的に見ても女性が文系と比べて教育の収益率が高い理系に進学していないことが認められますが、以前このブログでご紹介したように→15歳の時には優秀だった日本の女子が社会進出できない一つの理由、日本の女性が理系に進学しない割合は他国を上回っています。男女の賃金格差の問題を考えた場合、高等教育の就学率におけるGender Parity Index(GPI:男女間の就学格差)の改善も求められますが、それと同時に教育の収益率が高い分野への女子の進学も求められてきます
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 多様化する日本人の結婚
2011年07月21日 (木) | 編集 |
男性が低収入層を中心に結婚を諦め、女性は晩婚化が進む、そして、2020年には男女の平均初婚年齢が同じになるかもしれない、という興味深いレポートがあったので、本当に男女の初婚の平均年齢が並ぶ事がありうるのかなと思い、結婚について色々調べてみました。今回のデータは厚生労働省の平成18年度「婚姻に関する統計」の概況から来ています。


そもそも論として、女性の初婚平均年齢が男性よりも上である国があるのかなと思い、UNのサイトで調べてみたのですが、どうやら世界にはまだ女性の初婚平均年齢が男性のそれを上回っている国はないようです。もし、2020年以降日本で女性の平均初婚年齢が男性を上回ったら…、胸熱ですね。下に挙げたグラフは初婚夫婦の年齢差の昭和50年と平成17年の比較です↓↓
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たしかにこの30年で女性が年上の、いわゆる姉さん女房のケースが倍増していますね。この事も女性の晩婚化を象徴するデータだと思います。ただ、5年前でもまだ妻が年上というケースは妻が年下というケースの半分にも満たないので、姉さん女房がメジャーとなるのはまだしばらく先の話になりそうです。



次に興味深かったのが、初婚・再婚比率の変化です。近年になって離婚率が上昇しているので、夫初婚・妻初婚の夫婦が減少しているのは予想がつきますが、一体どの程度変化は↓のグラフです。
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この30年間で一年間の結婚件数は30万件近く減少していますが、その中に占める再婚カップルの割合は上昇しています。データによると、双方共に初婚の場合と比べて、男性側が再婚の場合女性の結婚平均年齢は1.6歳、女性側が再婚の場合男性の結婚平均年齢は4.3歳高いので、この事も姉さん女房の増加と共に晩婚化の象徴的な出来事だと言えるでしょう(晩婚化が進んだから初婚-再婚カップルが増えたのか、初婚-再婚カップルが増えたのが晩婚化を推し進めたのかは僕には分かりませんが…)。

加えて、未婚率が上昇しているにも拘らず、初婚-再婚カップル及び再婚-再婚カップルの婚姻に占める割合が上昇している事から、結婚しない人は結婚しないのに結婚する人は何度も結婚したりする、結婚の偏在化が進んでいる事が読み取れます。「結婚するのは判断力の欠如・離婚するのは忍耐力の欠如・再婚するのは記憶力の欠如」というアラマン・サラクルーの言葉が正しければ…、判断力に優れた人が増える一方で、忍耐力と記憶力に乏しい人も増えている…のでしょうか?



最後に国際結婚に関する統計です↓↓
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このグラフから分かるように、この10年間で男女共に国際結婚をするカップルが増えています。先程も述べたように、結婚件数自体が減少しているので、これは興味深いなと思います。数字的には外国人と結婚する男性の方が圧倒的に外国人と結婚する女性よりも多いので、日本人男性のほうが日本人女性よりももてる…、のかもしれません。ただし、お相手がアメリカ人・イギリス人のケースに絞ってみると、日本人女性の方が日本人男性よりも、これらの国々の人と結婚しているので、「世界=欧米」という視野の狭い人たちによって日本人女性はモテるという幻想が作り出されたのかもしれません。

しかし、外国人と結婚する人や留学する人も増えているのに、最近の若者は引きこもりだなんて言っている人が見受けられますが、一体どんな根拠を持ってしてそんな事を言っているんでしょうかね(苦笑)?



以上のデータを見ると、①夫婦間の年齢差のあり方が多様化している、②初婚-初婚に囚われる事なく、初婚-再婚、再婚-再婚の様に結婚のあり方が多様化し、かつ結婚の偏在化が進んでいる、③国際結婚をする日本人が増えている、という事から日本人の結婚のあり方がここ30年ほどでかなり多様になりつつある事の一側面が見えてくるかと思います。

初産の平均年齢が39歳のでかつ色んな国籍の人がいる職場にいながら、年下の日本人と初婚同士で結婚する予定の僕は、自分が思っていたよりも保守的なのかもしれませんね。。。

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 日本の女性の労働を他の先進諸国と比べてみた。
2011年05月26日 (木) | 編集 |
平成21年度の日本の女性の雇用の状況に関するレポートが厚生労働省の方から発表されました→http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/josei-jitsujo/dl/09c.pdf

丁度ジェンダーの制度政策国別評価の仕事をしている真っ最中で、ちょっと頭がジェンダーモードなので、ついでに日本の女性の労働状況を先進諸国(アメリカ・イギリス・ドイツ・デンマーク・カナダ・OECD平均)と比べてみようと思います。国のチョイスには特に深い意味は無くテキトーに選んだので、他の国と比べてどうか?というのがありましたら、この記事のデータの全てのソースである世銀の。World Development Indicatorsの方まで出向いて頂いて、色々調べてみてください。



まずは、労働の量に関する労働参加率から見てみます。報告書では年齢別の労働参加率を出していて、下の通りです↓↓
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日本は長年女性のM字型の労働参加率(結婚・出産によって25-34で急激に低下する)が問題とされてきましたが、これを見ると解消されつつあるようです。報告書も下のグラフの通り、25-34才の既婚者女性の労働参加率の上昇に言及しています。まあ、この世代の女性の未婚率の上昇や、35歳以上女性の労働参加率は殆ど変わってないから第一子の出産時平均年齢がこの10年で2歳増加した(27.5才→29.5才)事の方が大きいんじゃないのか?ってのはきっと僕の穿った見方ですね。。。↓↓
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次にこれが先進諸国と比較してどうなのか?という辺りを見てみようと思います。↓↓
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2009年時点で女性の労働参加率が60%前半なのは日本だけ、という所から見て取れるとは思いますが、ミーティングでも度々言及されるように、日本の女性の労働参加率は低いです。80年代に他の国々で女性の労働参加が飛躍的に伸びたのに対して、日本はその伸び率が小さかったのが1つの原因と考えられます。また、確かに日本でも女性の労働参加が進んでいるのですが、未婚率の上昇分を考えるとなんとも心もとない値かな…、と思います。

日本は後期中等教育の修了率が高くて凄い(=日本では女性も殆ど高校を卒業している)、と評判ですし、女性の高等教育進学率も目を見張るものがありますが、イマイチそれが労働には結びついていないようです。。。まあ、ポジティブに解釈すれば、「日本では手段としての教育だけでなく、教育そのものを目的として見れるんだよ、凄いでしょー!」、と…捉えられ…ればいいなぁ…。



次に、労働の質的な側面を示す指標を幾つかご紹介しようと思います。

まずは、Part time labor among total female employmentを見てみます↓↓
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ドイツ・イギリスがかなり目立ちますが、日本もOECD諸国の平均よりも10%近く相当高く、女性のフルタイム労働が少ないという事が読み取れます。男女共同参画、と銘打つぐらいならもう少し頑張って欲しいところですね。



次はunder employmentです。under employmentとは平たく言ってしまえば、学歴に見合っていない低レベルな職業についている労働者の割合です。↓↓
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これは、残念ながら比較した国の中では日本がワーストです。確かに、日本の女性の高学歴化は進展していますが、それが上手く労働市場に結びついていない事はここからも明らかと言えるでしょう。労働経済は専門ではないのであれですが、昔記事にした通り→http://juliasannokainushi.blog31.fc2.com/blog-entry-55.html、学歴の中身に問題があるんじゃないかなー?と思います。



最後に、管理職に占める女性の割合を見ます↓↓
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この指標に関して言えば、言葉を失ってしまいますが…、むしろお見事!と言える位にぶっちぎりで日本はダメダメです。大体の国が30%以上あるのに対して日本は10%。



日本では女性の労働参加が進んでいない事が、人口減少・少子化との絡みで問題にされる事がしばしば見られるのですが、それに加えて女性の労働の質にも問題がある事が分かるかと思います。

日本の男性は家事育児をしないというのはデータ的にもはっきりと出ているのですが、裏を返すと家事育児をしなくてもいいような健康な男性しか働けない、管理職に就けない、フルタイムで働けない、とも考えられます。それと同時にunder employmentの割合からも分かるように、女性がキャリアを考えていくうえでもう少しクレバーな学歴の選択をしていく必要もあるかと思います。

労働の需要側・供給側双方とその周りの環境(保育園の整備など)の改善が求められると考えます。

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