ジンバブエでの生活の事や途上国や日本の教育政策の事について書いています(ここでの見解は個人の見解であり、所属団体の見解ではありません)
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 女性の教育を促進するジェンダーバイアス(NY Times)
2012年01月03日 (火) | 編集 |
NY Timesで、「働かずに、教育を受けることを選択する若い女性」、という面白い記事があったので、ご紹介しようと思います。この記事は、女子は教育を受けなくても良い・女子は文系に進むべきだ、といった類で女子教育を阻害すると思われやすいジェンダーバイアスですが、アメリカではむしろ3種類のジェンダーバイアスが女性の就学を促進していることが書かれています。

Young women seem to be postponing their working lives to get more education. There are now — for the first time in three decades — more young women in school than in the work force. (中略) Both men and women are going back to school, but the growth in enrollment is significantly larger for women (who dominated college campuses even before the financial crisis). In the last two years, the number of women ages 18 to 24 in school rose by 130,000, compared with a gain of 53,000 for young men.


アメリカでは金融危機以降女性の就学率が伸び、若年女性ではついに働いている人よりも学校に行っている人の方が多くなりました。男女で比べてみると、男性の就学者数が金融危機以降の二年半で53000人増えたのに対し、女性の就学者数は130000人も増えました。アメリカでは学歴が高いほど失業率も給与水準もよいので→教育とジェンダーと生涯収入、ジェンダーの観点から長期的視野で見ると、この現象が大きな影響を及ぼすことが考えられます。

では、なぜこの不景気を女性はスキルアップの好機と捉える一方で、男性は目の前にある仕事に飛びついてしまうのか?の3つの理由が下記で説明されます。



Some studies suggest that women are pickier about their job choices than men. Already earning lower pay, women are less willing to work when wages fall further, especially if they are able to rely on an employed (and these days, often newly re-employed) husband. Women are also more reluctant to work night or weekend shifts, according to government data on how Americans spend their time, partly because they have more family responsibilities.


一つ目の理由は男女で仕事の選択に異なる傾向が現れる事です。ある研究によると、男性と比べて女性は、①給与が下がると簡単に仕事を辞めてしまう、②夜間や週末が絡むタイムシフトでは働かない、そうです。とりわけ養ってくれる夫がいる場合に顕著で、女性の方がより家事労働に責任を持っている事がその一つの理由だそうです。



There is still this heavy cultural message that men should be out there earning money and supporting themselves, and they feel more distressed by losing their breadwinner role.


2点目は、男性は稼いで家族を養うべきだ、という強い文化的なメッセージがまだまだ残っているため、大黒柱としての役割を失ったときに男性は強いストレスを感じてしまう、というものです。



Today young girls are told they can do anything, go into any occupation. But if boys express any interest in traditionally female occupations, they get teased and bullied, Lots of guys are not understanding what’s happening to traditional low-income or middle-income male jobs.


3点目は、職業とジェンダーによるものです。これまで男性の職場だと考えられていたところにも女性が進出するようになり、現代の女の子は「あなたは将来何にでもなれる」と言われて育っていきます。これに対し、男子は看護師に代表されるような女性の職場に行きたいと意思表明すると友達に苛められてしまい、女子と比べて男子は極めて狭い将来の選択肢しか持ち得ないことになります。しかも、男性の職場だと考えられていた製造業では構造的な失業や賃金の低下が発生しているために、ますます男性は不利になっている、と考えられています。



話を米国から途上国へと移してみても、中南米や中東ではジェンダーバイアスが男子の教育の阻害要因or女子の教育の促進要因として現れています。中南米ではmasculinityが大変強く、この記事の2番目の要因が強く現れています。男子は早く自分で稼ぎたい・稼げるようになって一人前・ギャングの仲間入り、などの原因によって学校を退学してしまうため、女子の方が就学率が高くなっています。中東では女性の仕事があまりないので、この記事の1番目の要因が現れ、高等教育において女子の就学率が男子のそれを上回るケースが出てきています。



翻って日本を見ると、この3つの要因すべて存在しているように感じられます。しかし、アメリカと比べて一旦働いた後に大学・大学院へ進学してスキルアップして社会へ戻っていく事がそれほど一般的ではないため、日本では短大を除いて女子の就学率が男子のそれを上回っていることはありません。また、世界的に見ても女性が文系と比べて教育の収益率が高い理系に進学していないことが認められますが、以前このブログでご紹介したように→15歳の時には優秀だった日本の女子が社会進出できない一つの理由、日本の女性が理系に進学しない割合は他国を上回っています。男女の賃金格差の問題を考えた場合、高等教育の就学率におけるGender Parity Index(GPI:男女間の就学格差)の改善も求められますが、それと同時に教育の収益率が高い分野への女子の進学も求められてきます
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