ジンバブエでの生活の事や途上国や日本の教育政策の事について書いています(ここでの見解は個人の見解であり、所属団体の見解ではありません)
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 日本の大学生はどれぐらいいるか?を都道府県の人口と比較して考える―日本の女子教育の現状と課題、の続き。(前篇)
2012年11月05日 (月) | 編集 |
先日、シノドスさんの方に「Education at a Glanceから見る日本の女子教育の現状と課題」という原稿を寄稿しました。女子教育の現状と課題では、大学・大学院への女性の進学率および女性がSTEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)を学ぶケースがOECD諸国の中で最下位である事をフォーカスしました。しかし、大学へ行く上でもう一つ重要な要素があります、それは大学の質です。日本の女子大生はどのような大学で学んでいるのか、ジンバブエへの出発が延びに延びているので、三回に渡って(予定)書いていこうと思います。

今回は女子大生に焦点を当てる前に、まず日本の大学生がどの大学にどれぐらいいるのか、ざっと見てみます。日本の大学生の規模感を把握しやすくするために、それぞれのカテゴリに属している大学生の数を、都道府県・市町村の人口と比べてみようと思います。

偏差値

上の表は大学種別の大学生数と各カテゴリに属する大学生数が全体の何%を占めるのかを表したもので、文部科学省「学校基本調査」から持ってきたものです。現在日本に大学生は約256万人おり、その57%が男性で、43%が女性となっています。国立大学に通う学生は約45万人いて、これは全大学生の17.6%に当たります。公立大学には約13万人が在籍し、全大学生の5%に相当します。残りの199万人、77.5%の学生が私立大学に通っています。6つもカテゴリーがあるにも拘らず、大学生のほぼ2人に1人が私立大学に通う男性で、国立大学に通う女性は16人に1人と考えると、結構偏っているなという印象を受けますね。

偏差値

偏差値

次に、国立・公立・私立別/学部別/男女別の大学生数とその分布を上の表をつかって見ようと思います。分布の方の説明ですが、1列目の数字は全大学生の何%が特定の学部に在籍しているかを表したもので、例えば社会科学系に在籍する大学生は全大学生の33.7%を占め、工学部生は15.3%を占めるといった具合です。

次に2列目から4列目ですが、これは各学部の学生の何%が国立/公立/私立に所属しているかを表したものです。例えば、社会科学系の学生は、8%が国立大学、4%が公立大学、残りの88%が私立大学に在籍しています。また、工学部だとこの比率が大きく異なっていて、34.4%が国立大学、4.1%が公立大学、61.5%が私立大学に在籍しています。先ほども言及しましたが、大学生は国立大生が17.5%、公立大生が4.9%、私立大生77.5%という比率ですが、この比率よりも10%%以上高いケースは黄色で塗ってみました。

5・6列目は各学部在籍者の男女比です。例えば、社会科学を学ぶ大学生の66.8%が男性で、33.2%が女性です。工学部生は、実に88.3%が男性です。これも、全体の57:43よりも10%%以上高い所は黄色で塗っておきました。

日本の大学生の分布の特徴として、理系は国立、文系は私立、男性は理系、女性は人文科学・サービス系、というのがかなり鮮明に表れていると思います。「高等教育の量的拡大はどのように行われるべきか?」でも卒業学部と雇用や賃金との結びつきについて言及しましたが、人文科学系を学ぶ学生がほぼ工学部の学生と同じで、社会科学を学ぶ学生が工学部生の2倍もいるというのは、大丈夫かな…と心配になります。ただ、大学生が256万人いるとか、所謂私立文系が100万人以上いることなど、あまりスケール感が掴めないと思うので、各カテゴリに属する大学生の人数を都道府県・市町村の人口と比べてみようと思います。

偏差値

日本の大学生の人数ですが、これは京都府の総人口とほぼ等しい値となっています。南の木津川市から、京都市を超えて、さらに日本海側の京丹後市までの赤ん坊から老人まですべて全て大学生だと考えると、日本の大学生がどれぐらいいるかイメージしやすいかと思います。日本で国公立大学に通っている大学生の人数は、人口が最も少ない県である鳥取県の人口とほぼ等しい値となっています。一方で、私立大に通っている大学生の人数は日本でも人口が多い方の件に分類される福島県の人口とほぼ同じです。西日本の鳥取県と東日本の福島県の比較ではイマイチスケール感が分かりづらい人もいるかもしれませんが、鳥取県の人口にさらに琵琶湖をぐるっと一周して滋賀県の老若男女全ての人口を足してようやく福島県の人口に並びます。

次にジェンダーに焦点を当ててみます。日本にいる男子学生の人数は山口県の人口とほぼ等しく、女子学生の人数は富山県の人口と同じぐらいです。これも山口県と富山県の比較のスケール感が分かりづらい人がいるかもしれないですが、女子大生の人数がさらに古都奈良県の県庁所在地である奈良市民の分だけ増えると男子大生の人数と等しくなります。奈良に観光に行った事がある人ならイメージしやすいかもしれませんが、あの奈良市民全員分だけ女性の方が大卒の人数が少ないとすると、労働市場でジェンダー格差が発生するのもむべなるかな、と思います。さらに、国立大学に在籍する女子大生の人数は、青春18きっぷを使った事がある人ならきっと聞いた事がある、大垣市民の人口と同じぐらいです。私はその大垣市にある大垣北高校の卒業生なので大垣市の人口規模がとても良く実感できるのですが、国立大学に通う女子大生の数は本当に少ないんだなと実感しました。

最後にですが、京都府民と同じだけ大学生がいると思うと、日本に大学生は数多くいるんだなと思うかもしれません。ですが、京都府民と同じだけしか大学生がいない現状では、毎年鳥取県民と同じだけの人口が高卒労働者として労働市場に入っていく事になります。ちょっと長い目で見ると、60年前は中卒労働者が「金の卵」と呼ばれていました。それが今や中卒程度の仕事どころか、高卒程度の仕事もどんどん中国やタイに流れていっています。このように、経済が発展して、経済構造が高度化すると教育を受けていない労働者の仕事がどんどん減っていきます。最近、大学の質が低下しているという事で新たな大学の設置が取り消されましたが、確かに人数を絞れば大学の質は向上するはずです。しかし、これは大学の質が向上する代わりにそれだけ教育を受けていない労働者を世に送り出す事であり、国民全体の教育水準を低下させる、という事を意味します。経済発展する事を放棄したのであればそれで良いかもしれませんが、途上国と仕事をし、先進国の利害対立も目の当たりにする職についている私は、経済発展を放棄する事が如何に恐ろしい事か良く分かるので、大丈夫かな…なんて思ってしまいます。

次回は女子大生に焦点を当てて、日本の女子大生がどのような入学難易度の大学に在籍しているのか見て、次々回は女子大に焦点を当てていこうと思います。

(おまけ)
各カテゴリに属する大学生の数も都道府県・市町村の人口と比べてみました。10000人以下のカテゴリは空白にしておきました。
偏差値

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