ジンバブエでの生活の事や途上国や日本の教育政策の事について書いています(ここでの見解は個人の見解であり、所属団体の見解ではありません)
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 学歴と所得、高卒女性の深刻な貧しさ(Education at a Glanceから④)
2012年10月19日 (金) | 編集 |
引き続き日本出国までEducation at a Glanceの興味深い教育データを紹介していこうと思います。今回は、学歴と所得です。日本を含むOECD諸国では高校中退以下・高卒・短大卒・大卒以上で、どの程度所得が違うのでしょうか?ちなみにですが、生まれ持った能力等々をコントロールした値ではないので、ある国で教育を受けるとどの程度所得が伸びるか?というよりは、ある国で学歴に基づく格差がどの程度あるか?として見てもらえればと思います。
プレゼンテーション2
まず、上の図は高卒者の平均所得を100とした時の、高校中退者以下の学歴の者の平均所得です。対象年齢は25-64歳です。大学院進学率のデータを紹介した時に、日本はそれほど学歴社会ではないという感想を述べましたが、このデータを見ても、日本は高校を卒業していなくてもそれほど所得面での不利が大きくなく、やはり日本はあまり学歴社会ではないのだなという印象を持ちました。他の国を見ると、高校中退が大きな社会問題となっているアメリカでは、やはり高校を卒業していない層の所得はかなり低くなっています。全般的に、北欧諸国では高校を卒業していなくてもそれほど不利は大きくなく、英語圏の国では高校を卒業していない層が大きな不利を被っているようです。

次に、高卒者の平均所得を100とした時の、短大卒業者の平均所得です。データを見る前に、この章でとても興味深い分析結果が出ていたので、それを先にご紹介しておこうと思います。

An individual with a tertiary-type B degree (a degree from a shorter programme, designed to lead directly to the labour market) can expect an earnings premium of 24%, compared to his or her counterpart with an upper secondary education. However, this earnings premium is less likely to increase over time, compared to the premium for a person with a tertiary-type A
(university) degree(P141).

「短大卒業者の平均所得は高卒者よりも24%ほど高い。しかし、大卒者と高卒者の所得格差は年齢とともに拡大して行くのに対して、短大卒者と高卒者の所得格差は年齢とともに拡大して行かない(P141)」という事です。この結果を解釈すると、短大では高校で身につけられない知識や技術を学ぶ事ができるものの、短大で行われている教育ではlearnabilityやtrainabilityを養う事ができていない、という事です。
プレゼンテーション2
さて、上の図の短大卒業者の平均所得ですが、日本は高卒者の平均所得よりも低くなっています。日本の労働市場にそれほど明るいわけではないのでよく分かりませんが、高卒者の男女比がほぼ半々なのに対して短大卒業者の大半が女性である事等々が影響しているのかなと思いました。高校中退以下の学歴の者の平均給与ほどこれといった特徴はないようですが、これも英語圏の国+韓国で短大を出てもそれほど高卒よりもアドバンテージを得られるわけではないという印象を受けました、厳しい国々です…。
プレゼンテーション2
上の図は大卒以上の者の平均所得です。日本の高卒者と比較したときの大卒者のアドバンテージは、至ってOECD諸国の中でも平均的で、やはり学歴社会が日本でことさら取り上げられる理由がイマイチよく見えてきません。北欧諸国では大卒者と高卒者の所得格差が小さく、アメリカではこの所得格差が大きいようです。つまり、北欧諸国はそれほど学歴社会ではなく、アメリカはかなり強烈な学歴社会である、と言えるようです。

最後に、どこの国でも一般的に学歴が上がるほど所得も上がるのですが、これはあくまでも「平均」の話です。学歴が高くなるほど貧しい人(所得が中位所得の半分以下)の割合も減るのでしょうか?というわけで下の図です。
プレゼンテーション2
やはり、どこの国でも大卒者と比べると、高卒者の方が貧しい人の割合が高いようです。日本の大卒者で貧しい人の割合はこれもやはりOECD諸国の中で真ん中ぐらいで、これと言った特徴があるわけではありません。しかし、問題は高卒層の貧しさの割合です。大卒者層のそれはOECD諸国の中でも真ん中ぐらいなのに、高卒者層のそれはアメリカよりも高く、OECD諸国でも第二位となっています。。。
プレゼンテーション2
というわけで、同じデータを男女に分けたものの女性の方が上の図になります。特に説明するまでもないと思いますが、日本の高卒者層の貧しさの原因は高卒女性層(57.0%)にあります。2位以下の国に10パーセンテージポイント以上の差をつけてのダントツの貧しさです。ちなみにですが、この値を上回るのは、イギリス(59.1%)とアメリカ(60.8%)の高校中退以下女性層ぐらいしかないという高さです。あ、日本の高校中退以下女性層(69.7%)も上回っていましたね。。。日本が学歴社会・男性社会と言われるのは、「平均」ではなく「貧しさ」に現れているのかもしれませんね。

来週にはジンバブエへの渡航の日程を決める担当者の人が休暇から帰ってきてくれるといいな…。
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