ジンバブエでの生活の事や途上国や日本の教育政策の事について書いています(ここでの見解は個人の見解であり、所属団体の見解ではありません)
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 大阪維新の会の教員政策は成功するか?をアメリカの経験から考える。おまけ編
2012年01月19日 (木) | 編集 |
今回大阪維新の会の教員政策が機能するか否かアメリカの経験から考えてみましたが、これは比較教育行財政と呼ばれる分野の手法を用いており、この比較教育行財政と教育政策の量的評価が私の専門分野です。

具体的にはA国で採られている教育行財政の制度をB国に移植するとどのような長所・短所が現れるかA国の経験から考え(ここまで比較教育行財政)、実際に移植する前にB国の特徴(離職率の賃金弾力性とかSESによる学力格差とか)を調査して微修正を加え、かつ実際に移植した際に教員文化等の違いによりどのような問題が現れたかを量的に評価する(ここまで教育政策の量的評価)といった感じで、この手法を基礎教育・ジェンダー・途上国といった分野に適応して研究や仕事をしています。

この比較教育行財政ですが、教育学部の中でも教育学(Pedagogy)でも経済学でも社会学でもないマイナーな分野で、思った以上に今回のシリーズに対する反響がなかったのもそれを現しているかな…と思いました。。。アメリカでもこの分野で博士課程に進むと取得する学位はPhDではなくEdDという専門職博士号になるマイナー分野です。日本だと、日本の大学院にはそもそもEdDという概念がなく事実上ないに等しい専門分野です。

こんな超マイナーな分野なのですが、ひょっとしたら興味を持ってくれた方がいるかもしれないので、私が読んだ本の中で比較教育行財政の観点から大阪維新の会の考察に役立ち、かつ主に学部生・修士の学生を対象とした文献をいくつかご紹介しておきます。ちなみにですが、私は公務員でアフィリエイトで稼いではいけないので、商売目的ではないか?といった心配は必要ありません。



この本は比較教育行財政というよりは教育政策の量的評価の分野の本ですが、議論されている手法は難しいとしても、内容と結果を知っておくのは比較教育行財政でもとても役に立つと思います→Handbook of the Economics of Education

アメリカの教員評価を組み込んだ教員評価の歴史や各給与システムの長所短所が分かります→Teacher Pay and Teacher Quality:Attracting, Developing, and Retaining the Best Teachers

マネージャーとしての校長を全面に押し出すイギリスの教員給与について分かります→Teacher Pay and Performance

アメリカの経験から教育の質につながる教員の質って何だろう?教員の質をあげる教員給与ってどんなんだろう?といった辺りに答えてくれる本です→Teacher Pay and Teacher Quality

アメリカでCareer Ladder SystemとMerit Pay Systemがどのような背景を持って誕生し、この二つの制度はどのような哲学を持ってどのように違っているのかがよく分かります→Incentive Pay and Career Ladders for Today's Teachers: A Study of Current Programs and PracticesMerit, Money and Teachers' Careers: Studies on Merit Pay and Career Ladders for Teachers

学部生でもすらすら読める本です→Redesigning Teacher Pay: A System for the Next Generation of Educators

比較教育行財政の中でも、とりわけ国際教育協力・教育開発(先進国間ではなく、先進国-途上国ないしは途上国間の比較教育行財政)に興味がある人はUNESCOのIIEPの出版物は結構勉強になりますし、何よりタダでダウンロードできます→UNESCO IIEP Publications

英語の本は読みたくない、というめんどくさがり屋さんにはこの教授のペーパーを読むのをおススメします。ちなみに、僕は東大教育学部3年の後期の時に中田先生の比較教育行財政という授業を取り、そこで日米の教員給与制度は教員や教育行政官・政治家の視点からばかり議論され子どもや社会という観点が抜け落ちていると指摘した所、それに気づいただけでも私の授業をとった意味はあったと思う、と言われてそれからずっと子どもと社会にとって意味のある教員政策の実現を目指して研究や仕事をしている感じです。といっても、この授業出席者が3人しかいなかったので、やはり比較教育行財政という分野はどうもマイナーみたいですね。。。→中田康彦教授



比較教育行財政分野でのキャリアのイメージとしては、入院前にある程度日本語で比較教育行財政の知識を仕入れておき、修士課程では英語によるインプットとアウトプット(英語による議論と英語でペーパーが書ける)ができ、かつ社会調査法の教科書に載っているような量的な統計的検定とコーディングなどの質的手法を使って、教育行政・NGOなどの現場で調査が出来る様になっているイメージがあります。修士課程から博士課程にダイレクトで進学するのは極めて例外的で、博士課程の学生はほぼ例外なく教育関連の職務経験があるはずです。私は、教育政策の量的評価に行き国際機関に戻ってくる予定ですが、この分野の博士課程では数量的なモデルを組んで計量経済学的手法で調査が出来るようになる教育政策の量的評価か、教員研修のコンテンツを書けるようになるペダゴジーに進む人が多い印象です。博士号取得後は国際機関や教育行政の現場、NGOなどで働いているか、アカデミアに残るかの選択は迫られますが、比較的実務とアカデミアの垣根が低く行ったり来たりが容易にできる分野だと思います。
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