ジンバブエでの生活の事や途上国や日本の教育政策の事について書いています(ここでの見解は個人の見解であり、所属団体の見解ではありません)
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 抗議の声すらあげられずに死んでいく女の子たち―インドの人口データから
2013年01月14日 (月) | 編集 |
昨年末にインドでバスに乗車していたカップルが襲われ、襲われた女子学生がレイプされた上に殺されてしまった悲しい事件が日本でも報道されました→頻発するレイプ事件に怒り拡大、連日抗議デモ インドの女子学生死亡。残念な事にまた同様の事件が起きて、Yahoo Newsのトップで報じられていました→インドのバスでまた集団強姦事件、6人逮捕。これらの事件を機に、日本でもインドの深刻なジェンダー状況がかなり報じられるようになってきました→レイプだけでない!嫉妬、報復…女性への凶行やまぬインド

ただ、これらの一連の報道を見ていると、女性に対する暴力(Violence against Women)ばかりが取り上げられて、インドが抱えるもっと深刻なジェンダー問題、すなわちこれらの記事に出てくるように抗議の声を上げる事すら出来ずに死んでいく女の子たちの存在があまり取り扱われておらず、ちょっと気になってしまったので、インドの人口データを紹介しようと思います。いつも通りデータの出所は世界銀行のWorld Development Indicatorsです。



まず、出生時の男女の比率を見てみましょう。僕も教育が専門で人口が専門ではないのでイマイチ原理は良く分かっていないのですが、女の子よりも男の子の方が体が弱くすぐ死んでしまうため、男の子の方がやや多く生まれてくるらしく、出生時の男女比は51:49ぐらいになるそうです。つまり、大体男の子が1000人生まれるとすると女の子が960人ぐらい生まれてくるそうです。

とは言うものの、一人っ子政策を採っていた中国何かが良い例なのですが、女の子よりも男の子が望まれるケースがあるために(胎児が女の子だと分かると中絶してしまうケース)、1000:960よりもやや低い値になる事がそれなりにあるようです。ちなみに、日本のそれは1000:947ぐらいとなっています。ではインドはどうでしょうか?参考までに、日本・先進国平均・低所得国平均・インドの近隣諸国であるブータンとバングラデシュの値も載せておきました。

プレゼンテーション1

上の図から一目瞭然ですが、インドは他の国よりも男女の出生比率が歪んでおり、明らかに生まれてくるべき女の子が生まれてきていない状況が見てとれるかと思います。



次に5歳未満死亡率を見ていこうと思います。男女別の値を見る前に軽く世界では5歳未満死亡率がどの程度なのか把握するために、先ほどの国々の値を見てみます。

プレゼンテーション1

上の図が各国の5歳未満死亡率なのですが、日本は5歳未満児が1000人いたとするとその内の3人ほどが5歳の誕生日を迎えることなく死んでしまいます。この値は先進国平均の6人よりも随分少なく、如何に日本の医療が優れているかが良く分かるかと思います。問題のインドですが、近隣諸国よりも高い値を示しており、1000人中61人の子どもが5歳の誕生日を迎えることなく死んでしまいます。イマイチ分かりづらい数字かもしれませんが、小学校で40人学級だった人はそれなりにいると思いますが、クラスメイトの中、2人は小学校にたどり着くことなく死んでいる計算になります。もっと実感するための具体例をあげると、小学校のクラスメイトの中体が弱そうだった人を2人思い浮かべてもらったとして、その2人はインドだったらあなたのクラスメイトになる事もなく亡くなってしまっている、といった感じでしょうか。

次に、5歳未満死亡率の男女比を下の図を使って見てみようと思います。

プレゼンテーション1

出生時男女比の所でも言及したのですが、基本的に男の子の方が体が弱いらしいので、5歳未満死亡率の男女比を見ても殆どの国で男の子の方が高くなっています。日本でも5歳未満の男の子が1000人亡くなったとすると、女の子は888人しか亡くならない計算になります。他国や他の地域でも同様で、男の子が5歳未満で1000人亡くなった場合、女の子は大体900名前後亡くなる計算になります。

しかし、インドは世界的にもかなり稀な国に位置付けられるのですが、5歳未満死亡率の男女別の内訳を見た場合、男の子よりも女の子の方が数多く5歳の誕生日を迎えられていない状況となっています。



このようなインドの人口データを紹介してみましたが、もちろん、この世に生まれてくる事が出来なかった女の子達は、産声すらあげる事が出来なかったわけですから、ジェンダー不平等に対して抗議の声を上げることなんて出来るわけがないですし、5歳の誕生日を迎えることなく死んでしまった女の子達も、ジェンダー不平等が無ければ死ぬ事もなかったなんて認識する前に死んでしまっていますから、抗議の声すらあげられずに亡くなってしまっています。

日本の報道ではインドで女性のジェンダー不平等に対する抗議活動が取り上げられていますが、人口データから見るその実態はより深刻で、抗議の声すらあげられずに死んでいった女の子達がインドには数多くいます。一日でも早くそんな状況が改善されると良いですね。
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 日本企業の女性管理職は、なぜ少ない?
2013年01月11日 (金) | 編集 |
ジンバブエ生活も2カ月目に入り、順調に体重が落ちて行っています。雨季なのと(基本的に雨が降ると体調が悪い)、食当たりするのと(外食がかなり鬼門)、食欲が落ちるのと(洋食がダメ・タイ米もダメ)で順調に体力が奪われていっています、あまりこの仕事むいていないのやも。。。

インターネットを最も高い料金プランで契約したので、ワシントンDCに居た時とそれほど変わりなくネットを使えるので(停電時を除く)、結構日本のニュースも追えています。今日はちょっと女性の社会進出を巡り高市議員と野田議員(地元の岐阜選出です)が論争して、TBSラジオのニュース探求ラジオDigでも、女性管理職、なぜ少ない?と取り上げられたので、少し考えてみようと思います。

DIGの番組中では、主に労働環境の事が取り上げられ、男女雇用機会均等法についても言及されていました。確かに、日本の就学前教育の整備の悪さが女性の労働参加を阻んでいる側面は確実にあるでしょうし、労働環境にも問題があるのでしょう(日本で働いた事がないので、後者はイマイチよく分りませんでしたが。。。)。ただ、番組中で外国ではリクルーターが直接理系学部に来て女性をリクルートしていった、と言及されたにも拘らず、教育の側面から全くと言ってよい程日本企業の女性管理職が少ない理由が取り上げられていなかったので、少し考えてみようと思います。



これまでも現状の教育では、女性の労働参加を促し、女性の管理職を増やす事が難しい事は度々言及してきました。SYNODOSさんに寄稿したEducation at a Glanceから見る日本の女子教育の現状と課題では、大卒及び院卒に占める女性の割合が、日本はOECD諸国の中で最低である事と、理系に占める女子学生の割合もOECD諸国の中で最低である事を指摘しました。

このブログでも、女子大学生はどこにいる?―日本の女子教育の現状と課題、の続き(中編)で、諸外国と比べて日本では難関大学での女子学生比率が極端に低い事、国公立大学での女子学生比率が低い事に言及しました。また、日本の女子大と女子大生―日本の女子教育の現状と課題、の続き(後編)では、女子大の存在が日本の女子教育を悪化させている一翼を担っている事にも言及しました。

よくぞまあここまで酷い女子教育の状況を放置したものだなぁ、と思いますが(国際機関で教育屋になると、ジェンダーと教育は絶対に避けて通れないので、この状況は看過する事ができないのです。。。ちなみに、今私が働いている部署も、Basic Education and Gender Equalityですし。)これは歴史的に見てもそうなのでしょうか?男女雇用機会均等法の話もでてきたので、20-30年前に遡ってみることにしましょう。



今回も使用するデータは世界銀行のWorld Development Indicatorsです。まず、DIGで女性国会議員の比率の低さが問題視されていたので、この指標についてデータが揃っている他のOECD諸国と比べてみましょう。
Presentation1_20130111183147.jpg
数値が入っているのが日本のデータです。確かに、1990年の1.4%というのは相当酷い値なのですが、まだこの当時は他の国を見ても、1/3以上の国で女性国会議員の比率が1桁台と、たいがいな状況でした。ところが、ほぼ全ての国が2000年、2012年と年が経つごとに劇的に女性国会議員の比率を上昇させてきたのですが、日本はこの流れに完全に乗り遅れてしまい、今でも1桁台をうろうろとしています。

次に男女の労働参加率の比率を見てみましょう。この指標は女性の労働参加率/男性の労働参加率で現わされていて、100を越えると女性の労働参加率が男性よりも高い、という事を意味します。またもや、数値を入れてあるのが日本のデータです。
Presentation2.jpg
女性国会議員の比率と似たような結果なのですが、1990年時点では決して良くはないものの、他の国々もたいがいな所が多いおかげで、そこまで酷い結果とはなっていません。ところが、この20年の間に他の国々では劇的に女性の労働参加が進んだものの、日本はここでもこの流れに乗り遅れてしまい、イタリア・韓国と共にOECD最下位グループを構築する一角となってしまいました。



最後に、高等教育における男女の就学比率を見ましょう。こちらは1970年からデータがあったので、1970年からこれまでの流れを見てみましょう。(余談ですが、仕事で教育統計整備をしているので70年からデータがあるという点に、やっぱり先進国は凄いなぁと感動してしまいました。。。)
Presentation3.jpg
他のデータと全く同じ傾向なのですが、1970年当時はどこの国でも女子の就学状況は良好なものではありませんでした。しかし、この40年間で大幅に女子の就学状況は改善しました。丁度、高等教育を受けた女子が社会に出て労働参加率を押し上げたり、国会議員の女性比率を押し上げたような形となっています。しかし日本はというと、完全にこの流れに取り残され、現在に至っても女子の就学状況は男子よりも悪いままです。



さて、ここで話を急遽ここジンバブエに飛すのですが、なぜ豊かだった国がジンバブエドルみたいなもので有名になってしまったかというと、様々な要因がありますが、白人が持っていた会社や広大な農地を黒人に分け与えたのも一因です。格差を是正したいという意図は良かったのですが、如何せんまともな教育を受けていなかったので、広大な農地や会社を与えられても、経営できるはずがなく経済が混乱に陥いっていきました。

また、私の所属している組織も基本的には3年に1回は転勤、しかも世界中のどこにいくかも分からないし、自分で空席に応募していくので、空席がなければ失職ですし、競争に負けても失職というなかなか厳しい労働環境となっています。そんな環境ですが、女性職員の方が圧倒的に多いですし、管理職にも数多くの女性を見かけます。そして、彼女達の多くは一流大学の大学院まで行っています。

これらの事を考えると、確かに労働環境の問題も大きいのでしょうが、現在の日本の女子教育の状況では女性管理職を増やすことなど無理な話ですし、上手くいくとも思えません。どうしてもクオータを割り当てなければならないのであれば、企業や国会議員以上に、大学に対して割り当てる事が求められると思います。他国が大幅に女子教育を改善し、女性の管理職を増やした(奇遇にも日本の失われた20年と合致するのですが。。。)のにキャッチアップするためにも、女子教育の推進をして頂きたいものです。



とは言うものの、これまでずっと女性上司の元で働いてきましたし、どうも途上国生活に向いていないようなので、日本に帰って働いてみても・・・、あ、日本から仕事のオファーが来たことがなかった。。。(苦笑)
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 日本の女子大と女子大生―日本の女子教育の現状と課題、の続き(後編)
2012年11月08日 (木) | 編集 |
前回まで、日本の大学生がどの程度どのような大学に在籍しているか、女子大生はどのような大学に在籍しているか、を見てきました。今回は女子大に焦点を当ててみようと思います。日本には女子大が約80校存在しており、日本の大学の10%ちょっとは女子大という事になります。その内訳をみると、国立2校、公立2校、後は私立大学と圧倒的に私立大学に女子大が多い事が分かります。

偏差値

上の表が示すように、国立の女子大はお茶の水女子大と奈良女子大の2校で、2校合わせた学生数は4190名であり、これは国立大学に在籍する女子大学生の約2.62%にしか相当しません。同様に、公立の女子大は群馬県立女子大と福岡女子大の2校で、2校合わせた学生数は1804名であり、これは公立大学に在籍する女子大学生の約2.65%にしか相当しません。つまり、国立大学に通う大半の女子大学生は女子大ではなく共学の大学に在籍している事が分かります。また、これら4つの大学が開校している学部を見ると、日本の女子大学生の在籍パターンを反映するかのように、大半が人文科学系ないしはサービス系となっています。

次に私立の女子大ですが、北は藤女子大学に在籍する2234名から南は鹿児島純心女子大学の642名まで、合計73校に合わせて約18.4万人の女子大生がおり、私立女子大は国公立女子大と違ってある程度の存在感を持っています。約18.4万人という私立女子大に在籍する女子大生の数ですが、これは私立大学に在籍する女子大学生の約21.1%に相当し、私立大学に通う女子大学生の5人に1人は女子大生という事になります。

次に私立女子大の規模ですが、超小規模校(<1200)が17校、小規模校が29校(<2400)、中規模校(<6000)が22校、大規模校が5校となっています。小・中規模の私立女子大が多いように思われるかもしれませんが、一般的な私大の分布とそれほど差があるわけではありません。地域分布については北海道・東北地方に5校、東京に20校、関東に12校、中部に5校、近畿に17校、中国・四国に5校、九州に9校となっており、これも一般的な私大の分布と大きく異なっているわけではなさそうです。

偏差値

このような私立女子大ですが他の大学と大きくとなる点が一つあります。それは、学部の分布です。上の表のデータは各私立女子大のHPから持ってきたものを分類したので、実際に各私立女子大が学校基本調査で報告している物と多少のずれはあるかもしれません。私立女子大の特徴として、開設されている専攻が、文学・家政・教育(主に児童教育)・国際XX学部・医学(主に看護)・福祉に偏っている事が挙げられます。特に、私立女子大生の約80%は文学・家政・児童教育のいずれかを専攻している事になります。

逆に、社会科学・工学・理学を専攻している女子大生は殆どいません。事実、経済学部・工学部を開設している私立女子大はありません。法学部を開設している私立女子大も京都女子大学しかありません。その他の理系分野についても、日本女子大学の理学部、東京女子大学の数理科学、津田塾大学の数学科・情報科学科ぐらいしかなく、西日本には存在しません。

このような私立女子大における開設学部の偏りは、「高等教育の量的拡大はどのように行われるべきか?」の中でも提示した枠組みに基づくと、圧倒的に雇用や賃金に結びつきづらい専攻に集中しており、その入学難易度と授業料を合わせて考えると、私立女子大の存在意義そのものが危ぶまれます。



さて、ここからがデータに基づかないあんまりにも突拍子な内容なのでシノドスさんに寄稿した「日本の女子教育の現状と課題」からは落とした内容です。日本の女子教育の課題は、①大学への進学率が低い、②STEM系を専攻する女子大学生が少ない、③国立大学でジェンダー格差が大きい、の3点です。記事の中では、学校・家庭・教育行政それぞれに問題があり、女子教育改善のためにそれぞれが努力する必要があると書きました。では、教育行政(教育計画)に焦点を当てた場合、女子教育改善のために何が出来るでしょうか?

まず考えられるのが、アファーマティブアクション的に、国立難関大学にのSTEM系学部に女子枠を設ける事です。しかし、かつて九州大学の数学科が入試で女性枠を設けようとした所、男性差別だとの非難が殺到し、これを撤回した事を考えると、この政策を日本で採用する事は極めて難しいと思われます。ちなみにですが、国連では女性を優先して採用すると明言しており(TORにすら書いてあります。)、極めて日本人男性が国際公務員になりづらい状況になっているので、九州大学数学科に抗議した人にはぜひぜひ国連の方にも抗議してほしいものですが…(苦笑)。

そこで考えられるのが、国立の女子工業大学の設立です。まず、お茶の水女子大学・奈良女子大学の廃止論が出ないように、国立の女子工業大学を設立する方が、国立大のSTEM系学部に女性枠を設けるよりも、風当たりは強くないと考えられます。さらに、国立・公立の女子大学生に占める女子大生の比率は3%未満なのに対し、私立では21%以上もあり、工業大学は脇に置いておいても国公立女子大そのものへの需要はあると考えられます。

国立の女子工業大学の設立で、現在の女子大が抱える開設学部の偏りに介入するという教育の供給側の問題だけでなく、そのような女子大を選択している教育の需要側の問題にも切り込もうと思うとかなり大胆にやる必要があると思います。まず、授業料を極めて低く抑えるかふんだんに奨学金を用意して、女子高生の大学進学・STEM系進学需要を掘り起こす必要があります。さらに現在の女子大への教育需要を考えると、できれば複数校設立して、国が真剣に女性のSTEM系への進学を支援する姿勢をアナウンスする事で、女子高生の教育需要に変化を起こしたい所です。



国立女子工業大学の設立という突拍子もない結論でしたが、この結論はさておき、日本の女子教育を考える事は日本の教育政策を考える上で一つ重要な事を提示してくれます。記事で触れた理由以外にも、教育でのジェンダー格差が問題視されるべき理由があります。

それは、高等教育でのジェンダー格差があるという事は、男性・女性に対して使われる公教育費に格差が生じている事を意味するからです。大学に行っていない人よりは行っている人に、私大生よりは国公立大生に、文系よりは理系に、税金が使われています。大学進学率・国立大学・理系において顕著なジェンダー格差があるという事は、教育段階においては顕著に女性よりも男性に対して税金が使われている事を意味します。

そもそも、日本は国公立大学が名門大学となっていることから、名門大学に行ける富裕層の子弟に教育段階で税金が使われがちなシステムとなっています。さらに、ここ数日文科大臣の発言で「大学生の数が多過ぎる」という議論が再び注目を集めていますが、大学生の数を絞れば基本的には大学に残るのは富裕層の子弟であり、税金が富裕層の子弟により一層集中する事が大いに見過ごされていると思います。

私は、教育とは個々人がより豊かな生活を送れるようになる手段であり、国にとっては経済成長の手段であると同時に経済格差を縮小させる手段でもあると信じています。しかし、日本の女子教育の現状が示すように、日本では教育が経済成長を達成したり経済格差を縮小させたりする手段である、とは認識されていないようです。とても残念ですね。



今回参照した女子大は次の通りです。もしどこか抜けている所があったら、コメント欄でご連絡頂けると嬉しいです。日本の女子大一覧(2012.11現在)→【北海道・東北】藤女子大学・東北女子大学・宮城学院女子大学・仙台白百合女子大学・郡山女子大学。【関東】女子栄養大学、跡見学園女子大学、愛国学園大学、十文字学園女子大学、川村学園女子大学、聖徳大学、和洋女子大学、フェリス女学院大学、東洋英和女学院大学、鎌倉女子大学、女子美術大学、相模女子大学。【東京】日本女子大学、大妻女子大学、共立女子学園大学、東京家政大学、昭和女子大学、聖心女子大学、清泉女子大学、学習院女子大学、東京女子大学、東京女子医科大学、日本女子体育大学、東京家政学院大学、白百合女子大学、東京女子体育大学、津田塾大学、駒沢女子大学、東京女学館大学、恵泉女学園大学、東京純心女子大学、実践女子大学。【中部】岐阜女子大学、金城学園大学、椙山女学園大学、名古屋女子大学、桜花学園大学。【近畿】京都ノートルダム女子大学、同志社女子大学、京都女子大学、京都光華女子大学、平安女学院大学、梅花女子大学、大阪樟蔭女子大学、神戸女子大学、甲南女子大学、神戸松蔭女子学院大学、神戸親和女子大学、神戸海星女子学院大学、神戸女学院大学、武庫川女子大学、大阪女学院大学、千里金蘭大学、園田学園女子大学。【中国・四国】ノートルダム清心女子大学、広島女学院大学、安田女子大学、広島文教女子大学、松山東雲女子大。【九州・沖縄】九州女子大学、西南女学院大学、福岡女学院大学、福岡女学院看護大学、筑紫女学園大学、活水女子大学、尚絅大学、長崎純心女子大学、鹿児島純心女子大学。【国公立】お茶の水女子大学、奈良女子大学、群馬県立女子大学、福岡女子大学。
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 女子大学生はどこにいる?―日本の女子教育の現状と課題、の続き(中編)
2012年11月06日 (火) | 編集 |
前回は日本の大学生がどの程度どのような大学に在籍しているのかを見ました。今回は、日本の女子大学生がどこに在籍しているのかに焦点を当てていこうと思います。

偏差値

まず、上の表を活用して難関国立大学を見てみます。東京大学と京都大学の女子学生比率ですが、東大の女子学生比率は20%以下、京大も22%とかなり低い値となっており、日本の最難関大学に在籍する女子大生の人数はかなり少なくなっています。さらに、旧帝国大学を見ても、最も女子学生比率が高い大阪大学ですら約33%(これも旧外国語大学の学生を抜くとかなり値が小さくなってしまいますが…)と、大体30%前後となっています。確かに、東大・京大と比べて旧帝国大学の女子学生比率は高いものの、それでも30%に届くかどうかです。他の国立難関大学を見ても、東京工業大学ではその理系中心の学部構成も相まって11%と、極めて低い女子学生比率となっています。しかし、最も驚いたのは文系を中心とした学部構成となっている一橋大学でさえも女子学生比率は25%を割り込んでおり、女子大学生は一橋大生の4人に1人もいないという事になります。これらの値から難関国立大学におけるジェンダー格差はかなり大きなものとなっている事が容易に見てとれます。私立よりも国立、一般的な大学よりも難関大学で教育のリターンが大きくなる事を考えると、容易に労働市場でジェンダー格差が発生する事が想像付きます。

偏差値

次に、地方の国立大学を見ようと思います。日本の各地域から国立の総合大学をチョイスして上の表にしてみました。だいたいどこの地方の国立大学でも、旧帝国大学よりも高い女子学生比率となっており、40%前後となっています。ちなみに、国立大学全体での女子学生比率は35.7%となっています。この平均値とご紹介したいくつかの国立大学の女子学生比率から見えてくるのは、入学難易度によるものなのか大学の立地によるものなのかこのデータからは分かりませんが、いずれにせよ大学の難易度が上がるほど女子学生比率が低下しているようです。

偏差値

次に、難関私立大学での女子学生比率を上の表を使って見ていきます。東京六大学に所属する東京大学を除いた5私立大学での女子学生比率を見ると、立教大学で女子学生が過半数を占めている以外はどこも軒並み30%前半となっています。立教大学に加えて、上智大学やICU、いくつかの名門女子大の存在を考えると、早慶よりも下のランクの大学群ではかなり女子学生比率が高い事が予想されます。さらに、視野を地方の私立大学へと広げていくと異なった様相が現れてきます。関西地方の同志社大学・立命館大学では女子学生比率が30%後半まで到達していますし、東海地方の南山大学・九州地方の西南学院大学では、女子が過半数を占めている状況となっています。

私立大学には国立大学ほど明確な傾向を見出す事が難しいものの、こちらも早慶レベルの難関大学では女子学生の比率がやや低く、入学難易度が易化すると女子学生比率が上昇する感じがします。地方に目を向けると、旧帝国大学や国立大学に男子が向かう分、名門私立大学に女性が多くなっているような気がします。

偏差値

日本の女子教育の現状と課題」の中で、女性が大学へ進学しない事、STEM(Science, Technology, Enginering, and Mathematics)を大学で学ばない事、という日本の女子教育の課題に言及しました。しかし、日本の女子教育の課題はもう一つあります。それは、難関大学でのジェンダー格差です。上の表でいくつかの国のトップ大学と名門工科大学の女子学生比率を掲載してみましたが、日本の難関大学におけるジェンダー格差は他の国と比べてもかなり酷いものとなっています。日本は労働市場でのジェンダー格差が問題視される事がありますが、①女子の大学・大学院進学率を向上させる事、②女子の人文科学・サービス系への進学志向をSTEM系学部へと誘導して行く事、そして③女子高生の急激な学力低下を防いで難関大学でのジェンダー格差を解消する事、最低でもこの3つが克服されない限りは、どうやっても労働市場でのジェンダー格差を解消する事は出来ません。

とは言うものの、日本には数多くの女子大が存在していて、難関大学進学に影響を与えてるものと思われます。この影響を分析する事は難しいですが、女子大に焦点を当てるとまた色んな物が見えてきますので、次回は日本の女子大と女子大生を見てみようと思います。
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 日本の大学生はどれぐらいいるか?を都道府県の人口と比較して考える―日本の女子教育の現状と課題、の続き。(前篇)
2012年11月05日 (月) | 編集 |
先日、シノドスさんの方に「Education at a Glanceから見る日本の女子教育の現状と課題」という原稿を寄稿しました。女子教育の現状と課題では、大学・大学院への女性の進学率および女性がSTEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)を学ぶケースがOECD諸国の中で最下位である事をフォーカスしました。しかし、大学へ行く上でもう一つ重要な要素があります、それは大学の質です。日本の女子大生はどのような大学で学んでいるのか、ジンバブエへの出発が延びに延びているので、三回に渡って(予定)書いていこうと思います。

今回は女子大生に焦点を当てる前に、まず日本の大学生がどの大学にどれぐらいいるのか、ざっと見てみます。日本の大学生の規模感を把握しやすくするために、それぞれのカテゴリに属している大学生の数を、都道府県・市町村の人口と比べてみようと思います。

偏差値

上の表は大学種別の大学生数と各カテゴリに属する大学生数が全体の何%を占めるのかを表したもので、文部科学省「学校基本調査」から持ってきたものです。現在日本に大学生は約256万人おり、その57%が男性で、43%が女性となっています。国立大学に通う学生は約45万人いて、これは全大学生の17.6%に当たります。公立大学には約13万人が在籍し、全大学生の5%に相当します。残りの199万人、77.5%の学生が私立大学に通っています。6つもカテゴリーがあるにも拘らず、大学生のほぼ2人に1人が私立大学に通う男性で、国立大学に通う女性は16人に1人と考えると、結構偏っているなという印象を受けますね。

偏差値

偏差値

次に、国立・公立・私立別/学部別/男女別の大学生数とその分布を上の表をつかって見ようと思います。分布の方の説明ですが、1列目の数字は全大学生の何%が特定の学部に在籍しているかを表したもので、例えば社会科学系に在籍する大学生は全大学生の33.7%を占め、工学部生は15.3%を占めるといった具合です。

次に2列目から4列目ですが、これは各学部の学生の何%が国立/公立/私立に所属しているかを表したものです。例えば、社会科学系の学生は、8%が国立大学、4%が公立大学、残りの88%が私立大学に在籍しています。また、工学部だとこの比率が大きく異なっていて、34.4%が国立大学、4.1%が公立大学、61.5%が私立大学に在籍しています。先ほども言及しましたが、大学生は国立大生が17.5%、公立大生が4.9%、私立大生77.5%という比率ですが、この比率よりも10%%以上高いケースは黄色で塗ってみました。

5・6列目は各学部在籍者の男女比です。例えば、社会科学を学ぶ大学生の66.8%が男性で、33.2%が女性です。工学部生は、実に88.3%が男性です。これも、全体の57:43よりも10%%以上高い所は黄色で塗っておきました。

日本の大学生の分布の特徴として、理系は国立、文系は私立、男性は理系、女性は人文科学・サービス系、というのがかなり鮮明に表れていると思います。「高等教育の量的拡大はどのように行われるべきか?」でも卒業学部と雇用や賃金との結びつきについて言及しましたが、人文科学系を学ぶ学生がほぼ工学部の学生と同じで、社会科学を学ぶ学生が工学部生の2倍もいるというのは、大丈夫かな…と心配になります。ただ、大学生が256万人いるとか、所謂私立文系が100万人以上いることなど、あまりスケール感が掴めないと思うので、各カテゴリに属する大学生の人数を都道府県・市町村の人口と比べてみようと思います。

偏差値

日本の大学生の人数ですが、これは京都府の総人口とほぼ等しい値となっています。南の木津川市から、京都市を超えて、さらに日本海側の京丹後市までの赤ん坊から老人まですべて全て大学生だと考えると、日本の大学生がどれぐらいいるかイメージしやすいかと思います。日本で国公立大学に通っている大学生の人数は、人口が最も少ない県である鳥取県の人口とほぼ等しい値となっています。一方で、私立大に通っている大学生の人数は日本でも人口が多い方の件に分類される福島県の人口とほぼ同じです。西日本の鳥取県と東日本の福島県の比較ではイマイチスケール感が分かりづらい人もいるかもしれませんが、鳥取県の人口にさらに琵琶湖をぐるっと一周して滋賀県の老若男女全ての人口を足してようやく福島県の人口に並びます。

次にジェンダーに焦点を当ててみます。日本にいる男子学生の人数は山口県の人口とほぼ等しく、女子学生の人数は富山県の人口と同じぐらいです。これも山口県と富山県の比較のスケール感が分かりづらい人がいるかもしれないですが、女子大生の人数がさらに古都奈良県の県庁所在地である奈良市民の分だけ増えると男子大生の人数と等しくなります。奈良に観光に行った事がある人ならイメージしやすいかもしれませんが、あの奈良市民全員分だけ女性の方が大卒の人数が少ないとすると、労働市場でジェンダー格差が発生するのもむべなるかな、と思います。さらに、国立大学に在籍する女子大生の人数は、青春18きっぷを使った事がある人ならきっと聞いた事がある、大垣市民の人口と同じぐらいです。私はその大垣市にある大垣北高校の卒業生なので大垣市の人口規模がとても良く実感できるのですが、国立大学に通う女子大生の数は本当に少ないんだなと実感しました。

最後にですが、京都府民と同じだけ大学生がいると思うと、日本に大学生は数多くいるんだなと思うかもしれません。ですが、京都府民と同じだけしか大学生がいない現状では、毎年鳥取県民と同じだけの人口が高卒労働者として労働市場に入っていく事になります。ちょっと長い目で見ると、60年前は中卒労働者が「金の卵」と呼ばれていました。それが今や中卒程度の仕事どころか、高卒程度の仕事もどんどん中国やタイに流れていっています。このように、経済が発展して、経済構造が高度化すると教育を受けていない労働者の仕事がどんどん減っていきます。最近、大学の質が低下しているという事で新たな大学の設置が取り消されましたが、確かに人数を絞れば大学の質は向上するはずです。しかし、これは大学の質が向上する代わりにそれだけ教育を受けていない労働者を世に送り出す事であり、国民全体の教育水準を低下させる、という事を意味します。経済発展する事を放棄したのであればそれで良いかもしれませんが、途上国と仕事をし、先進国の利害対立も目の当たりにする職についている私は、経済発展を放棄する事が如何に恐ろしい事か良く分かるので、大丈夫かな…なんて思ってしまいます。

次回は女子大生に焦点を当てて、日本の女子大生がどのような入学難易度の大学に在籍しているのか見て、次々回は女子大に焦点を当てていこうと思います。

(おまけ)
各カテゴリに属する大学生の数も都道府県・市町村の人口と比べてみました。10000人以下のカテゴリは空白にしておきました。
偏差値

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