ジンバブエでの生活の事や途上国や日本の教育政策の事について書いています(ここでの見解は個人の見解であり、所属団体の見解ではありません)
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 抗議の声すらあげられずに死んでいく女の子たち―インドの人口データから
2013年01月14日 (月) | 編集 |
昨年末にインドでバスに乗車していたカップルが襲われ、襲われた女子学生がレイプされた上に殺されてしまった悲しい事件が日本でも報道されました→頻発するレイプ事件に怒り拡大、連日抗議デモ インドの女子学生死亡。残念な事にまた同様の事件が起きて、Yahoo Newsのトップで報じられていました→インドのバスでまた集団強姦事件、6人逮捕。これらの事件を機に、日本でもインドの深刻なジェンダー状況がかなり報じられるようになってきました→レイプだけでない!嫉妬、報復…女性への凶行やまぬインド

ただ、これらの一連の報道を見ていると、女性に対する暴力(Violence against Women)ばかりが取り上げられて、インドが抱えるもっと深刻なジェンダー問題、すなわちこれらの記事に出てくるように抗議の声を上げる事すら出来ずに死んでいく女の子たちの存在があまり取り扱われておらず、ちょっと気になってしまったので、インドの人口データを紹介しようと思います。いつも通りデータの出所は世界銀行のWorld Development Indicatorsです。



まず、出生時の男女の比率を見てみましょう。僕も教育が専門で人口が専門ではないのでイマイチ原理は良く分かっていないのですが、女の子よりも男の子の方が体が弱くすぐ死んでしまうため、男の子の方がやや多く生まれてくるらしく、出生時の男女比は51:49ぐらいになるそうです。つまり、大体男の子が1000人生まれるとすると女の子が960人ぐらい生まれてくるそうです。

とは言うものの、一人っ子政策を採っていた中国何かが良い例なのですが、女の子よりも男の子が望まれるケースがあるために(胎児が女の子だと分かると中絶してしまうケース)、1000:960よりもやや低い値になる事がそれなりにあるようです。ちなみに、日本のそれは1000:947ぐらいとなっています。ではインドはどうでしょうか?参考までに、日本・先進国平均・低所得国平均・インドの近隣諸国であるブータンとバングラデシュの値も載せておきました。

プレゼンテーション1

上の図から一目瞭然ですが、インドは他の国よりも男女の出生比率が歪んでおり、明らかに生まれてくるべき女の子が生まれてきていない状況が見てとれるかと思います。



次に5歳未満死亡率を見ていこうと思います。男女別の値を見る前に軽く世界では5歳未満死亡率がどの程度なのか把握するために、先ほどの国々の値を見てみます。

プレゼンテーション1

上の図が各国の5歳未満死亡率なのですが、日本は5歳未満児が1000人いたとするとその内の3人ほどが5歳の誕生日を迎えることなく死んでしまいます。この値は先進国平均の6人よりも随分少なく、如何に日本の医療が優れているかが良く分かるかと思います。問題のインドですが、近隣諸国よりも高い値を示しており、1000人中61人の子どもが5歳の誕生日を迎えることなく死んでしまいます。イマイチ分かりづらい数字かもしれませんが、小学校で40人学級だった人はそれなりにいると思いますが、クラスメイトの中、2人は小学校にたどり着くことなく死んでいる計算になります。もっと実感するための具体例をあげると、小学校のクラスメイトの中体が弱そうだった人を2人思い浮かべてもらったとして、その2人はインドだったらあなたのクラスメイトになる事もなく亡くなってしまっている、といった感じでしょうか。

次に、5歳未満死亡率の男女比を下の図を使って見てみようと思います。

プレゼンテーション1

出生時男女比の所でも言及したのですが、基本的に男の子の方が体が弱いらしいので、5歳未満死亡率の男女比を見ても殆どの国で男の子の方が高くなっています。日本でも5歳未満の男の子が1000人亡くなったとすると、女の子は888人しか亡くならない計算になります。他国や他の地域でも同様で、男の子が5歳未満で1000人亡くなった場合、女の子は大体900名前後亡くなる計算になります。

しかし、インドは世界的にもかなり稀な国に位置付けられるのですが、5歳未満死亡率の男女別の内訳を見た場合、男の子よりも女の子の方が数多く5歳の誕生日を迎えられていない状況となっています。



このようなインドの人口データを紹介してみましたが、もちろん、この世に生まれてくる事が出来なかった女の子達は、産声すらあげる事が出来なかったわけですから、ジェンダー不平等に対して抗議の声を上げることなんて出来るわけがないですし、5歳の誕生日を迎えることなく死んでしまった女の子達も、ジェンダー不平等が無ければ死ぬ事もなかったなんて認識する前に死んでしまっていますから、抗議の声すらあげられずに亡くなってしまっています。

日本の報道ではインドで女性のジェンダー不平等に対する抗議活動が取り上げられていますが、人口データから見るその実態はより深刻で、抗議の声すらあげられずに死んでいった女の子達がインドには数多くいます。一日でも早くそんな状況が改善されると良いですね。
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コメント
この記事へのコメント
すごいデータだ
 インドのジェンダー問題にロクな関心がなかった私にはこのデータはちょっと絶句ものでした。「女なんかいらない」という価値観が強くなければ、これほど女児の死亡率が高いとは思えません。
 ところで、私の周囲の母親たちはみんな男より女の子がいいって言いますね。父親たちはどっちでもいいという人が大半です。印象として、ぜひ男児が欲しいという需要(?)は日本では減ってるような気がします。
2013/01/16(水) 22:56:47 | URL | shira #-[ 編集]
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