--年--月--日 (--) | 編集 |
2012年04月03日 (火) | 編集 |
以前JPO制度について、国際機関とのマッチングの辺りまでお話しました→http://juliasannokainushi.blog31.fc2.com/blog-entry-108.html。今日は候補者研修と国際機関との面接のプロセスについて書ける範囲で書こうと思います。
候補者研修は年が明けてから1週間の日程で東京で行われます。事前に参加する人もいるし、仕事で参加できない人もいると聞いていたので、私はちょっと仕事が忙しくて帰国できる状態ではなかったので東京には行きませんでした。が、参加者の中には海外から帰国して参加されていた方もいたようで、今回の合格者の大半の方が参加していて、無理にでも休暇を取って行けば良かったかな、と後悔しました。。。
私は帰国はしませんでしたが、お願いしてskypeで遠隔で受講させて頂きました。skypeでの遠隔受講も、受講時間が深夜になる以外は特に不便を感じなかったので、来年以降の合格者で仕事で帰国できないような人がいたら、お願いすれば遠隔受講はさせてもらえるので、お薦めです。
講習の内容は、プロジェクトマネージメントのような現地に行ってすぐに業務で役に立つもの、というよりは国連システムがどういったもので、生き残っていくためにはどうしなければならないか、といった長期的に役に立ちそうなものでした。普段の業務でUNESCO Institute of Statisticsのような国連システムの機関と仕事をする事はあるのですが、それがどういった指揮系統の元、どのような目的を持って動いているのかよく知らなかったので勉強になりました。特に世界銀行グループのシステムと比較しながら国連システムの話を聞くとなかなか面白かったです。
次に、国際機関との面接です。面接の日程については国際機関側と調整するのですが、調整を始めてから面接までの日程がかなり短いので、面接の準備は日程調整を始める前から余裕を持ってやっておくと良いと思います。国際機関の面接はCompetency Based Interviewというものが行われます。詳しくはこちらをご覧ください→http://www.vdbio.ch/downloads/personalfragen/C.%20Bewerbung/competency_based_interviewing.pdf。この面接方式は、志望動機や、skills and knowledge、professional experienceに関する質問は殆どこない、普通の面接とはかなり違う形式なので、使い回しの面接対策ではないしっかりとした対策を立てる必要があります。可能であれば、国際機関の方に一度練習をお願いするのが良いと思います。また、外務省の担当者の方にお願いすれば過去に面接でどのような質問が聞かれたのか教えて頂けるので、ぜひ活用した方が良いと思います。
ちなみに、電話面接は、相手の方は全員で話せるようにするのでかなり声が割れて聞こえますし、当然英語もそれぞれの方の母国語訛りが入ってくるので、かなり厳しいです。場当たりでこの状況に対応するのはかなり難しいので、しっかりと準備をする事が本当に大事です。
最後になりましたが、UNICEF(国連児童基金・ユニセフ)のジンバブエ事務所に教育担当官として赴任する事が決まりました。世界銀行との契約が8月初旬まであるので、それから一度日本に帰国して外務省の方からブリーフィングを受けて、ジンバブエに向かう事になりそうです。


候補者研修は年が明けてから1週間の日程で東京で行われます。事前に参加する人もいるし、仕事で参加できない人もいると聞いていたので、私はちょっと仕事が忙しくて帰国できる状態ではなかったので東京には行きませんでした。が、参加者の中には海外から帰国して参加されていた方もいたようで、今回の合格者の大半の方が参加していて、無理にでも休暇を取って行けば良かったかな、と後悔しました。。。
私は帰国はしませんでしたが、お願いしてskypeで遠隔で受講させて頂きました。skypeでの遠隔受講も、受講時間が深夜になる以外は特に不便を感じなかったので、来年以降の合格者で仕事で帰国できないような人がいたら、お願いすれば遠隔受講はさせてもらえるので、お薦めです。
講習の内容は、プロジェクトマネージメントのような現地に行ってすぐに業務で役に立つもの、というよりは国連システムがどういったもので、生き残っていくためにはどうしなければならないか、といった長期的に役に立ちそうなものでした。普段の業務でUNESCO Institute of Statisticsのような国連システムの機関と仕事をする事はあるのですが、それがどういった指揮系統の元、どのような目的を持って動いているのかよく知らなかったので勉強になりました。特に世界銀行グループのシステムと比較しながら国連システムの話を聞くとなかなか面白かったです。
次に、国際機関との面接です。面接の日程については国際機関側と調整するのですが、調整を始めてから面接までの日程がかなり短いので、面接の準備は日程調整を始める前から余裕を持ってやっておくと良いと思います。国際機関の面接はCompetency Based Interviewというものが行われます。詳しくはこちらをご覧ください→http://www.vdbio.ch/downloads/personalfragen/C.%20Bewerbung/competency_based_interviewing.pdf。この面接方式は、志望動機や、skills and knowledge、professional experienceに関する質問は殆どこない、普通の面接とはかなり違う形式なので、使い回しの面接対策ではないしっかりとした対策を立てる必要があります。可能であれば、国際機関の方に一度練習をお願いするのが良いと思います。また、外務省の担当者の方にお願いすれば過去に面接でどのような質問が聞かれたのか教えて頂けるので、ぜひ活用した方が良いと思います。
ちなみに、電話面接は、相手の方は全員で話せるようにするのでかなり声が割れて聞こえますし、当然英語もそれぞれの方の母国語訛りが入ってくるので、かなり厳しいです。場当たりでこの状況に対応するのはかなり難しいので、しっかりと準備をする事が本当に大事です。
最後になりましたが、UNICEF(国連児童基金・ユニセフ)のジンバブエ事務所に教育担当官として赴任する事が決まりました。世界銀行との契約が8月初旬まであるので、それから一度日本に帰国して外務省の方からブリーフィングを受けて、ジンバブエに向かう事になりそうです。
2012年03月10日 (土) | 編集 |
3月8日は国際女性の日でした。去年も国際女性の日に関連してジェンダーの世界的状況を表した図を示しましたが、今年もジェンダーに関する図をご紹介しようと思います。
今年は、途上国での少子化と女子教育についてです。現在、世界では人口増加がかなり大きなイシューとなっています。この人口増加を止める手段として様々な手段が議論されていますが、女子教育の推進はかなり有効な手段となっています。一つには、女子に教育を施すことでその間に起こる早期結婚・10代での出産を防ぐ事が出来るという点があります。他にも、女性が教育を受けることで家族計画をしっかりと立てられるようになる、エンパワーメントされて夫の言いなりにならなくなる、出産にまつわる放棄所得が高くなる等の理由から、女子教育を推進すると少子化が推進され人口爆発を抑える事が出来ると言われています。
というわけで、実際に中等教育の女子就学率と15-19歳女子1000人当たりの出生数、中等教育の女子就学率と10年後の合計特殊出生率がどの程度関係しているのか見てみようと思います。以前書いたように所得の上昇も少子化を進める要因なので、これを抑えるために同じ所得カテゴリーの中でこの関係を図示します。以下が低所得国・低中所得国・高中所得国での女子の中等教育就学率と15-19歳女子1000人当たりの出生数・合計特殊出生率です↓↓
まず、低所得国です。


女子の中等教育の祖就学率が上昇すると、15-19歳女子1000人当たりの出産数も10年後の合計特殊出生率も見事に減少していきますね。
次に低中所得国です。


ここでも同様の傾向が見られます。
最後に高中所得国です。


高中所得国ぐらいになると、低所得国や低中所得国ほど女子の中等教育就学率が10代での出産や合計特殊出生率と関係がなくなってきます。これは、これぐらいの国民所得になってくると女子の高等教育就学率が上昇してくるため、中等教育就学率だけでは説明が効かなくなってくるためです。
上の6つの図から、人口爆発を止めるために、如何に途上国で女子教育を推進して少子化傾向に持っていくことが重要かが分かるかと思います。そして、全ての教育段階で男女間格差をなくす事はMDGs(ミレニアム開発目標)の1つですが、まだ達成されていません。中等教育での男女の就学比率は低所得国で0.85、低中所得国で0.9、また高等教育でのそれは低所得国で0.64、低中所得国で0.84と、一昔前に比べれば状況は改善されているものの、まだまだ改善の余地が有ります。
途上国を少子化傾向に誘導して人口爆発を抑え、かつ女性のエンパワーメントを進めるためにも、MDGs達成に向けて女子教育が改善されていく事が必要です。


今年は、途上国での少子化と女子教育についてです。現在、世界では人口増加がかなり大きなイシューとなっています。この人口増加を止める手段として様々な手段が議論されていますが、女子教育の推進はかなり有効な手段となっています。一つには、女子に教育を施すことでその間に起こる早期結婚・10代での出産を防ぐ事が出来るという点があります。他にも、女性が教育を受けることで家族計画をしっかりと立てられるようになる、エンパワーメントされて夫の言いなりにならなくなる、出産にまつわる放棄所得が高くなる等の理由から、女子教育を推進すると少子化が推進され人口爆発を抑える事が出来ると言われています。
というわけで、実際に中等教育の女子就学率と15-19歳女子1000人当たりの出生数、中等教育の女子就学率と10年後の合計特殊出生率がどの程度関係しているのか見てみようと思います。以前書いたように所得の上昇も少子化を進める要因なので、これを抑えるために同じ所得カテゴリーの中でこの関係を図示します。以下が低所得国・低中所得国・高中所得国での女子の中等教育就学率と15-19歳女子1000人当たりの出生数・合計特殊出生率です↓↓
まず、低所得国です。


女子の中等教育の祖就学率が上昇すると、15-19歳女子1000人当たりの出産数も10年後の合計特殊出生率も見事に減少していきますね。
次に低中所得国です。


ここでも同様の傾向が見られます。
最後に高中所得国です。


高中所得国ぐらいになると、低所得国や低中所得国ほど女子の中等教育就学率が10代での出産や合計特殊出生率と関係がなくなってきます。これは、これぐらいの国民所得になってくると女子の高等教育就学率が上昇してくるため、中等教育就学率だけでは説明が効かなくなってくるためです。
上の6つの図から、人口爆発を止めるために、如何に途上国で女子教育を推進して少子化傾向に持っていくことが重要かが分かるかと思います。そして、全ての教育段階で男女間格差をなくす事はMDGs(ミレニアム開発目標)の1つですが、まだ達成されていません。中等教育での男女の就学比率は低所得国で0.85、低中所得国で0.9、また高等教育でのそれは低所得国で0.64、低中所得国で0.84と、一昔前に比べれば状況は改善されているものの、まだまだ改善の余地が有ります。
途上国を少子化傾向に誘導して人口爆発を抑え、かつ女性のエンパワーメントを進めるためにも、MDGs達成に向けて女子教育が改善されていく事が必要です。
2012年02月08日 (水) | 編集 |
前回の続きを書いている途中ですが、途上国にスタディツアーやボランティアに行った人達からよく聞く、「途上国の子ども達は目を輝せながら勉強しているのに、日本の子どもたちの目は死んでいる」、という言説に対して途上国は学歴社会が有効であるから子どもたちが目を輝かせて勉強している事を指摘しているのをTwitterで見かけて、面白いと思ったので少し自分の意見を書いてみようと思います。
まず、途上国が学歴・学校歴社会であるか否かですが、学歴が社会的地位を決定する所までは行かないにしても、日本と比較した場合、途上国の教育収益率は極めて高い事が実証されています。これには様々な理由があるのですが、大きな理由としては就学率の違いが挙げられます。就学率が低い途上国では教育を受けた労働者が貴重であり、日本の状況と比べてその希少性が高いために、教育の収益率が高いと考えられています。
さらに、教育需要の制約要因としては、学力要因と資金要因が挙げられます。途上国の場合、供給側の制約に加えて(学校がない)、まだまだ資金要因で進学できないケースが極めて大部分を占めるため、学力要因が進学制約となるケースが日本と比べると少ない印象を受けます。つまり、奨学金やNGOからの支援さえ得られれば、大きなチャンスを掴む事が日本と比べれば比較的容易だと考える事ができます(奨学金を得るのが難しいのですが…。)。
さらに、親が教育を受けていない=教育の価値を理解できていないケースが大半を占めるため、日本のように勉強しなさいと親や教師に言われるケースも少ないと考えられます。この辺りは家事労働や年少の兄弟の育児のために学校に行けない子ども達がまだまだ沢山いる事からも分かるかと思います。
つまり、途上国の子ども達にとって勉強する事は、アメが極めて大きい一方、アメ争奪戦が激しくなく(最近はネパールのように激しい国も出てきていますが)、かつ親によってムチを振るわれる事も稀である、と考えられます。
勘の良い人は既に気づいたかもしれませんが、日本の状況は途上国のこれと対極的な印象です。まず、日本の教育収益率ですが、教育投資は一般的な投資よりも遥かにリーズナブルな投資とは言えますが、途上国の教育収益率と比べると前述の理由によりどうしても小さくなってしまいます。
さらに、随分昔に存在した受験戦争という言葉が示すように、学校歴を得るための競争は日本ではとても激しく、良い大学に行けたとしても、勉強に費やしたコストの大きさを考えると、その便益は途上国のそれと比べると小さくなってしまいます。加えて、日本はアメリカのような国と違って授業料の安い国立大学が人気校であるため、資金制約による競争の歯止めが利かない事も競争を激化させていると考えられます(これ自体は良い事だと思います)。
また、「ゆとり」が蔑称として使われるように、日本では勉強をしていない事は社会からも厳しく非難されますし、親や教師から勉強しなさいと言われる程度や頻度が途上国の比ではない事は容易に想像がつくと思います。
しかも、学歴なんて意味がない、と平然と言ってのける人がある程度いるので、教育の便益が子ども達にとって明白なものではなくなっている印象を受けます。そして、http://bit.ly/xX6AgXを見ても、そのような大人は多そうな事が想像されます。
つまり、日本の子どもたちにとって勉強する事は、アメが小さいだけでなく、その争奪競争も極めて厳しいにも拘らず、さらに大人達によってそれが見えづらくされ、ムチだけは振るわれる事、と考えられます。
確かにこの現象の原因は、専門外なので当てずっぽうですが、核家族化の進行による家族数の減少・少子化に伴う友達の数の減少・カリキュラムといった辺りにもあるのではないかと思います。しかし、日本の子どもたちはアメが殆ど無い中ムチを振るわれ続けているのは事実です。経済発展と教育開発が進み教育の収益率が減少する事や学校歴獲得競争が厳しくなる事によるアメの減少や、経済の発展や少子化によって子ども1人あたりに対する教育投資が増加しそれと共にムチが強くなる事は、構造的な問題なのでなかなか解決は難しいと思います。
ただ、教育や学歴なんて意味がないと嘘をつき、わざわざアメを見えづらくして追い討ちをかける事はないと思います。もし途上国に行かれて、ここの子どもたちの目は輝いているのに日本の子どもたちの目は死んでいる、日本の教育を何とかしなければ、と思われたなら、まずは子どもたちに高卒/大卒の収入の違い・失業率の違い・婚姻率の違い・医療コストの違い・犯罪率の違いや学校歴別の収益率の違いを調べて、身近な子どもたちに教えてあげてアメを見やすくしてあげる事は、日本の子どもたちの目を途上国の子どもたちの目のように輝かせるために手軽に出来る大事な事だと私は思います。


まず、途上国が学歴・学校歴社会であるか否かですが、学歴が社会的地位を決定する所までは行かないにしても、日本と比較した場合、途上国の教育収益率は極めて高い事が実証されています。これには様々な理由があるのですが、大きな理由としては就学率の違いが挙げられます。就学率が低い途上国では教育を受けた労働者が貴重であり、日本の状況と比べてその希少性が高いために、教育の収益率が高いと考えられています。
さらに、教育需要の制約要因としては、学力要因と資金要因が挙げられます。途上国の場合、供給側の制約に加えて(学校がない)、まだまだ資金要因で進学できないケースが極めて大部分を占めるため、学力要因が進学制約となるケースが日本と比べると少ない印象を受けます。つまり、奨学金やNGOからの支援さえ得られれば、大きなチャンスを掴む事が日本と比べれば比較的容易だと考える事ができます(奨学金を得るのが難しいのですが…。)。
さらに、親が教育を受けていない=教育の価値を理解できていないケースが大半を占めるため、日本のように勉強しなさいと親や教師に言われるケースも少ないと考えられます。この辺りは家事労働や年少の兄弟の育児のために学校に行けない子ども達がまだまだ沢山いる事からも分かるかと思います。
つまり、途上国の子ども達にとって勉強する事は、アメが極めて大きい一方、アメ争奪戦が激しくなく(最近はネパールのように激しい国も出てきていますが)、かつ親によってムチを振るわれる事も稀である、と考えられます。
勘の良い人は既に気づいたかもしれませんが、日本の状況は途上国のこれと対極的な印象です。まず、日本の教育収益率ですが、教育投資は一般的な投資よりも遥かにリーズナブルな投資とは言えますが、途上国の教育収益率と比べると前述の理由によりどうしても小さくなってしまいます。
さらに、随分昔に存在した受験戦争という言葉が示すように、学校歴を得るための競争は日本ではとても激しく、良い大学に行けたとしても、勉強に費やしたコストの大きさを考えると、その便益は途上国のそれと比べると小さくなってしまいます。加えて、日本はアメリカのような国と違って授業料の安い国立大学が人気校であるため、資金制約による競争の歯止めが利かない事も競争を激化させていると考えられます(これ自体は良い事だと思います)。
また、「ゆとり」が蔑称として使われるように、日本では勉強をしていない事は社会からも厳しく非難されますし、親や教師から勉強しなさいと言われる程度や頻度が途上国の比ではない事は容易に想像がつくと思います。
しかも、学歴なんて意味がない、と平然と言ってのける人がある程度いるので、教育の便益が子ども達にとって明白なものではなくなっている印象を受けます。そして、http://bit.ly/xX6AgXを見ても、そのような大人は多そうな事が想像されます。
つまり、日本の子どもたちにとって勉強する事は、アメが小さいだけでなく、その争奪競争も極めて厳しいにも拘らず、さらに大人達によってそれが見えづらくされ、ムチだけは振るわれる事、と考えられます。
確かにこの現象の原因は、専門外なので当てずっぽうですが、核家族化の進行による家族数の減少・少子化に伴う友達の数の減少・カリキュラムといった辺りにもあるのではないかと思います。しかし、日本の子どもたちはアメが殆ど無い中ムチを振るわれ続けているのは事実です。経済発展と教育開発が進み教育の収益率が減少する事や学校歴獲得競争が厳しくなる事によるアメの減少や、経済の発展や少子化によって子ども1人あたりに対する教育投資が増加しそれと共にムチが強くなる事は、構造的な問題なのでなかなか解決は難しいと思います。
ただ、教育や学歴なんて意味がないと嘘をつき、わざわざアメを見えづらくして追い討ちをかける事はないと思います。もし途上国に行かれて、ここの子どもたちの目は輝いているのに日本の子どもたちの目は死んでいる、日本の教育を何とかしなければ、と思われたなら、まずは子どもたちに高卒/大卒の収入の違い・失業率の違い・婚姻率の違い・医療コストの違い・犯罪率の違いや学校歴別の収益率の違いを調べて、身近な子どもたちに教えてあげてアメを見やすくしてあげる事は、日本の子どもたちの目を途上国の子どもたちの目のように輝かせるために手軽に出来る大事な事だと私は思います。
2012年02月01日 (水) | 編集 |
再び、JPO派遣候補者研修を受けての感想です。研修の中で国連システム全体での援助計画(UNDAF:United Nations Development Assistance Frameworks)の策定の仕方を勉強しました。世界銀行も同じような援助計画(PRSP:Poverty Reduction and Strategy Paper)を策定しているので、研修の中ではこの二つを比べてそれぞれの長所短所を学びました。
国連のUNDAFと世銀のPRSPの長所短所はややJudgement Callな所がありますし、自分自身の判断で何か言えるほどこの業界に精通している訳でもないので、この点は置いておきます。ただ、教育分野の人間としてこの二つの援助計画を見比べると、なかなか面白い点が浮かび上がります。それはPRSPでは投資としての教育、UNDAFでは人権としての教育、という側面が強く現れる点です。もう少し具体的に言うと、PRSPの中には「Poverty」や「Growth」という単語が頻出する一方、UNDAFの方にはこれらの単語は殆ど出て来ず、代わりに「Rights」という単語が良く出てきます。大学院での専攻も含めて、この5年間投資としての教育側に身をおいていましたが、この度人権としての教育側に移籍するにあたって、学部時代に国際教育協力分野の教科書で習った事が実際に感じ取れて、とても面白かったです。
この投資としての教育と人権としての教育の違いを実際に感じ取れるのは確かに面白いのですが、自分自身のキャリアプランを考える上では相当にめんどくさい事が起きているのも、また事実です。これを少し説明しようと思います。
1990年のジョムティエン会議を契機に、教育に対して人権アプローチを取る国連システムと、経済アプローチを取る世界銀行グループの考えが、基礎教育の完全普及で一致し「Education for All(EFA)」の流れが生まれ、これが変質しMDGs:Millennium Development Goals(国連ミレニアム開発目標)のGoals2「初等教育の完全普及(UPC:Universal Primary Completion)」とGoal3「教育におけるジェンダー格差の解消」となりました。人権的に初等教育の完全普及と教育におけるジェンダー格差の解消が重視されるのは分かるかと思いますが、投資として初等教育の完全普及とジェンダー格差の解消が重視されるのは何故でしょうか?これは、初等教育と女子教育の収益率が高いためです。収益率が高いというのは、コストと便益の両面から説明されます。
まず初等教育の完全普及のコスト面から説明します。これは小学校と中等教育の職業訓練校を比較すると違いがよく分かります。多くの国では小学校の教員給与は中学校や高校より安く、かつ実習にまつわる費用が殆ど発生しないために、基礎教育のリカレントコストは職業訓練校のそれと比べて安上がりになります。さらに、小学校は職業訓練校で必要とされるような大掛かりな設備も必要とないので、キャピタルコストが格段に安上がりとなります。次に便益面を説明します。現在アメリカで第二次産業が流出し、第二次産業従事者に男性が多いため、男性不況などとジェンダーの分野で言われるように、グローバル化の進展と共に第二次産業を中心に中等教育程度の職業訓練はその教育成果を生涯にわたって発揮できる可能性が低くなっています。しかし、初等教育で学ぶ3Rs(読み・書き・計算)はどこの国のどの分野で働いても必要不可欠なものですし、初等教育の学習成果はlearnabilityの基礎となるため、初等教育の効果はほぼ何が起ころうとも生涯にわたる物となります。これらの事から、初等教育は他の教育段階と比べて教育の収益率が高くなるケースが大半を占めます。
次に教育におけるジェンダー格差の解消です。コスト面については、特に男女間の賃金格差が大きい国では、教育を受けるための放棄所得が男子よりも女子の方で小さくなるため、女子教育の方がコストが安くなります。女子教育の便益は様々な物が挙げられるのですが、代表的なものとしては出生率の低下・子どもの高学歴化・子どもの健康状況の改善、と言った物が挙げられます。このように、女子教育はとりわけ社会的収益率が高く、コスト面の安さと相まって、女子教育の収益率は高いと考えられています。
このように人権側も経済側も利害関係が一致しているので、国際教育開発業界では少なくともMDGsが終了する2015年迄、双方の目標が大きくずれることはなさそうです。ですが、2015年以降は正直良く分かりません。ちょっと書くのに疲れたので、2015年以降に投資としての教育と人権としての教育の目標がずれる可能性、その日本への示唆は次回に回そうと思います。


国連のUNDAFと世銀のPRSPの長所短所はややJudgement Callな所がありますし、自分自身の判断で何か言えるほどこの業界に精通している訳でもないので、この点は置いておきます。ただ、教育分野の人間としてこの二つの援助計画を見比べると、なかなか面白い点が浮かび上がります。それはPRSPでは投資としての教育、UNDAFでは人権としての教育、という側面が強く現れる点です。もう少し具体的に言うと、PRSPの中には「Poverty」や「Growth」という単語が頻出する一方、UNDAFの方にはこれらの単語は殆ど出て来ず、代わりに「Rights」という単語が良く出てきます。大学院での専攻も含めて、この5年間投資としての教育側に身をおいていましたが、この度人権としての教育側に移籍するにあたって、学部時代に国際教育協力分野の教科書で習った事が実際に感じ取れて、とても面白かったです。
この投資としての教育と人権としての教育の違いを実際に感じ取れるのは確かに面白いのですが、自分自身のキャリアプランを考える上では相当にめんどくさい事が起きているのも、また事実です。これを少し説明しようと思います。
1990年のジョムティエン会議を契機に、教育に対して人権アプローチを取る国連システムと、経済アプローチを取る世界銀行グループの考えが、基礎教育の完全普及で一致し「Education for All(EFA)」の流れが生まれ、これが変質しMDGs:Millennium Development Goals(国連ミレニアム開発目標)のGoals2「初等教育の完全普及(UPC:Universal Primary Completion)」とGoal3「教育におけるジェンダー格差の解消」となりました。人権的に初等教育の完全普及と教育におけるジェンダー格差の解消が重視されるのは分かるかと思いますが、投資として初等教育の完全普及とジェンダー格差の解消が重視されるのは何故でしょうか?これは、初等教育と女子教育の収益率が高いためです。収益率が高いというのは、コストと便益の両面から説明されます。
まず初等教育の完全普及のコスト面から説明します。これは小学校と中等教育の職業訓練校を比較すると違いがよく分かります。多くの国では小学校の教員給与は中学校や高校より安く、かつ実習にまつわる費用が殆ど発生しないために、基礎教育のリカレントコストは職業訓練校のそれと比べて安上がりになります。さらに、小学校は職業訓練校で必要とされるような大掛かりな設備も必要とないので、キャピタルコストが格段に安上がりとなります。次に便益面を説明します。現在アメリカで第二次産業が流出し、第二次産業従事者に男性が多いため、男性不況などとジェンダーの分野で言われるように、グローバル化の進展と共に第二次産業を中心に中等教育程度の職業訓練はその教育成果を生涯にわたって発揮できる可能性が低くなっています。しかし、初等教育で学ぶ3Rs(読み・書き・計算)はどこの国のどの分野で働いても必要不可欠なものですし、初等教育の学習成果はlearnabilityの基礎となるため、初等教育の効果はほぼ何が起ころうとも生涯にわたる物となります。これらの事から、初等教育は他の教育段階と比べて教育の収益率が高くなるケースが大半を占めます。
次に教育におけるジェンダー格差の解消です。コスト面については、特に男女間の賃金格差が大きい国では、教育を受けるための放棄所得が男子よりも女子の方で小さくなるため、女子教育の方がコストが安くなります。女子教育の便益は様々な物が挙げられるのですが、代表的なものとしては出生率の低下・子どもの高学歴化・子どもの健康状況の改善、と言った物が挙げられます。このように、女子教育はとりわけ社会的収益率が高く、コスト面の安さと相まって、女子教育の収益率は高いと考えられています。
このように人権側も経済側も利害関係が一致しているので、国際教育開発業界では少なくともMDGsが終了する2015年迄、双方の目標が大きくずれることはなさそうです。ですが、2015年以降は正直良く分かりません。ちょっと書くのに疲れたので、2015年以降に投資としての教育と人権としての教育の目標がずれる可能性、その日本への示唆は次回に回そうと思います。
2012年01月31日 (火) | 編集 |
前回JPO派遣候補者研修での感想を述べてきましたが、JPOの制度そのものについては書いてこなかったので、将来JPOを考えている方のために、書ける範囲でここまでの流れを少し記しておきます。
外務省さんの国連JPOの応募から派遣までの流れはリンクに記されている通りです。応募書類ですが、P-11が最重要書類となってくるので、外務省さんのP-11の書き方を参考にされると良いと思います。TOEFLのスコアの提出が求められますが、お恥ずかしい話ですがスピーキング部門の練習を全くしていなかった&試験当日風邪だったのもあって相当酷い成績でしたが、一次試験は通過できたので、TOEFLの成績が多少悪くても学歴・職務経験でカバーする事は可能だと思います。あと、国際機関で正規職員の経験が半年を超えている場合JPOに応募できない事になっていますが、私は世界銀行のJunior Professional Associate(JPA)として2年間正規職員として勤務しているにも拘らず通過していることから、国際開発金融機関と国際機関は別枠で考えてもらえるようです。さらに、私は日本の大学・大学院修了で通過しているので、日本でしか学位を取っていないから、と諦める事はありません。
次に、面接があります。一昔前はジュネーブやニューヨークでも行われていたようですが、現在は東京開催のみで、かつ電話面接等は一切行われないので、どんな事情があろうとも8月の飛行機代が高い最中に東京まで行かなければなりません。面接は1時間ほどで、日本語&英語で行われます。CV上の弱点に対する突っ込みに加えて、これまでの職務内容や、学校で学んだ&修士論文の内容、日本のODA政策、自分のキャリアプランについて等が聞かれます。これらはしっかり準備すれば、対応できるはずです。
合格後ですが、少なくとも教育分野は派遣される国際機関と派遣国は一切選択の余地がありません。もし、自分で行きたい機関・国が決まっていて特に待遇も気にしないというのであれば、JPOに応募するよりも、自分でその当該機関の当該国事務所にCV&カバーレターを送り、インターン→ローカルコンサルタント→インターナショナルコンサルタント→正規職員、を目指したほうが良さそうな気がします。私はネパールで働きたいという強い意思があるのですが、婚約者の博士論文の現地調査のためにある程度安定した身分でフィールドオフィスに出る必要があったので、今回はネパールを諦めJPOを選択しました。実力さえつければいつか自分で仕事を選択できる(=ネパールにいける)はずですから、今回の選択を殊更後悔はしていません。
最後に、外務省さんが公表しているように、JPOはこれまで毎年50人程度派遣されてきました。しかし、事業仕分けによる予算削減で派遣者数が大幅削減され、今年は10人強しか派遣されません。かつ、従来は外務省さんと国際機関の折半で3年目の契約延長が可能でしたが、残念ながら今年の派遣者から3年目は期待しないほうが良いと言われています。
日本人の国連機関の職員数は拠出金に比べて極めて少ないことが指摘されていますが、現政権が続く間はJPOを取り巻く状況は厳しいそうな印象です。ただ、確かに倍率はきついのですが、学士・修士・(博士)・職歴が一貫している応募者はそれほどいないので、明確なキャリアプランを持って職務経験を積み・大学院に進学すれば、YPやJPAよりも倍率は低いですし、JPOは通過できると思います。
私は現在派遣候補機関との交渉中なので、国際機関との面接や候補者研修などは、またそのうち気が向いたら記そうと思います。


外務省さんの国連JPOの応募から派遣までの流れはリンクに記されている通りです。応募書類ですが、P-11が最重要書類となってくるので、外務省さんのP-11の書き方を参考にされると良いと思います。TOEFLのスコアの提出が求められますが、お恥ずかしい話ですがスピーキング部門の練習を全くしていなかった&試験当日風邪だったのもあって相当酷い成績でしたが、一次試験は通過できたので、TOEFLの成績が多少悪くても学歴・職務経験でカバーする事は可能だと思います。あと、国際機関で正規職員の経験が半年を超えている場合JPOに応募できない事になっていますが、私は世界銀行のJunior Professional Associate(JPA)として2年間正規職員として勤務しているにも拘らず通過していることから、国際開発金融機関と国際機関は別枠で考えてもらえるようです。さらに、私は日本の大学・大学院修了で通過しているので、日本でしか学位を取っていないから、と諦める事はありません。
次に、面接があります。一昔前はジュネーブやニューヨークでも行われていたようですが、現在は東京開催のみで、かつ電話面接等は一切行われないので、どんな事情があろうとも8月の飛行機代が高い最中に東京まで行かなければなりません。面接は1時間ほどで、日本語&英語で行われます。CV上の弱点に対する突っ込みに加えて、これまでの職務内容や、学校で学んだ&修士論文の内容、日本のODA政策、自分のキャリアプランについて等が聞かれます。これらはしっかり準備すれば、対応できるはずです。
合格後ですが、少なくとも教育分野は派遣される国際機関と派遣国は一切選択の余地がありません。もし、自分で行きたい機関・国が決まっていて特に待遇も気にしないというのであれば、JPOに応募するよりも、自分でその当該機関の当該国事務所にCV&カバーレターを送り、インターン→ローカルコンサルタント→インターナショナルコンサルタント→正規職員、を目指したほうが良さそうな気がします。私はネパールで働きたいという強い意思があるのですが、婚約者の博士論文の現地調査のためにある程度安定した身分でフィールドオフィスに出る必要があったので、今回はネパールを諦めJPOを選択しました。実力さえつければいつか自分で仕事を選択できる(=ネパールにいける)はずですから、今回の選択を殊更後悔はしていません。
最後に、外務省さんが公表しているように、JPOはこれまで毎年50人程度派遣されてきました。しかし、事業仕分けによる予算削減で派遣者数が大幅削減され、今年は10人強しか派遣されません。かつ、従来は外務省さんと国際機関の折半で3年目の契約延長が可能でしたが、残念ながら今年の派遣者から3年目は期待しないほうが良いと言われています。
日本人の国連機関の職員数は拠出金に比べて極めて少ないことが指摘されていますが、現政権が続く間はJPOを取り巻く状況は厳しいそうな印象です。ただ、確かに倍率はきついのですが、学士・修士・(博士)・職歴が一貫している応募者はそれほどいないので、明確なキャリアプランを持って職務経験を積み・大学院に進学すれば、YPやJPAよりも倍率は低いですし、JPOは通過できると思います。
私は現在派遣候補機関との交渉中なので、国際機関との面接や候補者研修などは、またそのうち気が向いたら記そうと思います。